どうしよう…
ロトは目の前にある光景にどうしていいか分からず立ち止まったまま冷や汗をかいていた
自分が勇者だと知り、デルカダール城へと行く道すがら、その光景は突如として自分の目の前に飛び込んできた
それはのどかな草原には似つかない異色を放っており、ロトは戸惑う事しかできないでいた
「………あの、」
勇気を振り絞って声をかけてみる。
目の前の
スライムの塊に
「…え?なに?誰かいるの?」
ビックリ
まさか喋るとは…
予想を上回った返答にさらに固まる
「ちょっと!いるなら助けてよ{emj_ip_0792}」
ハッとしてスライム(塊)の方をよくよく見ると人の脚のようなものが見える
まさか…?
急いでスライム(塊)を退かすと中から現れたのはまさかの人間
「…はぁー、助かったぁー…。
ってか、いるなら早く助けてよ!」
「ごめん。キングスライムになるのかと思って…でも、どうしてスライムの中に?」
聞けば彼女は日向ぼっこしていた時にスライムが群がってきたのだと
「それはつまり襲われていたの?」
「どっちかってーと、懐かれた」
懐かれた?
よく分からない事言う…と思ったが、先ほど退かしたスライムの何匹かは近くにおり、彼女の頭や膝に乗ったまま嬉しそうにしている
「…うん。なんとなくわかったよ」
魔物が人に懐くなんて聞いた事は無かったけど、実際目の当たりにしては一概に否定できない
「とりあえず、助けてくれてありがとう。危うく窒息死するとこだったわー」
はっはっはーと笑う彼女は自分に乗っていたスライムをポテポテ振り払うと立ち上がり「君は旅の途中?」と聞いて来たので、「デルカダール城に行く途中」と言えば、丁度良かったと言わんばかりに同行すると言いだした
「え{emj_ip_0793}」
「装備とか消耗品とか揃えたかったからさー、ま。旅は道連れとか言うじゃん?よろしく!えっと…」
「あ、ロトだよ。」
「うん!ロトね。よろしく!私リア」
こうして、奇妙な出会いをしたリアと名乗る少女との旅が始まった
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