囚われた勇者様


リアと出会って数時間
何故か片っ端から倒したモンスターが彼女に懐いてくる

中には懐かないものもいて、それは通常通り煙と共に消えて行く


「不思議だね」

「え?何が?」

その辺にあった木ノ実をももんじゃに与えながら不思議聞き返すリア

「いや、その光景が」

馬がないリアはロトの後ろに乗せてもらい、間にももんじゃを挟んでいる事によって少し狭い


「あー…これ?私もよく分かってないんだけど、何故か懐かれるんだよねー。でも、色々条件もあってー」

「条件?」

「うん。自分よりレベルの高いモンスターは懐かないし、操られてるのもそうかなー」

「なるほど。」


確かにこの平原にいるモンスターはレベルが低いものばかりだな

1人納得していた所で、一際目立つ建物が見えて来た



「リア、着いたみたいだよ」

「おぉー!さっすが!馬があると早いねぇー」

きゃっきゃっと喜ぶ彼女の手元、ももんじゃに視線を移す


「それは持っていけないよ」

「分かってるよー、街中にモンスター持ってったらさすがに怒られるからね」


君はこれ以上連れていけないよ。ごめんね、バイバイ。そう言って馬からももんじゃを降ろす

寂しそうにこちらを見ていたももんじゃだったが、近くにデルカダール兵がいるのを見つけると足早に森の方に走って行った


「ようこそ!デルカダール城へ!」

入り口近くにいた兵士に言われ街へと足を踏み入れた


城下町なだけあって広く、活気がある。

街の中央には噴水があり、街のこども達が楽しそうにはしゃいでいた


「ロトは城に用事があるんだっけ?」

「うん。デルカダール王に会わなくちゃ」

手に持っていた首飾りを握り締めながら緊張した面持ちで城の方を見つめる


「そっか、じゃあここでお別れだね。色々ありがとう!またどっかで会ったらよろしくね!」

うん。と言えば嬉しそうに笑って、バイバーイと手を振りながら去って行くリア


嵐のような女だったな…と思いながら自分も城へと歩みを進めた















「悪魔の子を捕らえるのだ!」

デルカダール王の一声で兵士達に囲まれ、あっという間に地下牢へと閉じ込められた


どうして…

ただ、勇者だと名乗っただけなのに…


あぁ、僕は一体何者だったのだろう…

勇者?悪魔の子?


これからどうすればいいんだ…


母さん…エマ…






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