盗まれた鉄砲の段

時は戦国室町時代の末期……
争いや戦が絶えないこのご時世では城のお殿様や貴族そして「忍者」が存在する。

「僕」がこの世界に生まれてから早くも「10年」という月日が流れ今現在忍術学園に入学し双子の弟きり丸と同じ忍びを目指す仲間たちと共に日々たくましく生きている。

きり丸「……蒼真、何独り言言ってんの?」

「……あ、きり丸…、いや何でもない気にしないでくれ」

きり丸「ん?変な蒼真」

今現在忍術学園では冬休みのためで土井先生の家にお世話になっているんだが…今回はたくさんの荷物を配達するアルバイトのため土井先生と一緒に荷車にのせてその配達に向かっていた。

すると前方から冬休みで家にいるはずの乱太郎としんべヱが私服姿でこちらに向かって歩いて来るのを見かけた。


「あ、乱太郎…しんべヱ!」
きり丸「よ!どうしたんだ?こんなところで」

乱太郎「蒼真、きり丸!」
しんべヱ「こんなところで何してんの?」

きり丸「何って決まってるだろう?アルバイト」
乱太郎「確か二人は冬休み中は土井先生のうちでお世話になっているんじゃなかったっけ?」

きり丸「お世話になっているっていうか…お世話しているっていうか」

「こら、きり丸!!」
土井「よぉ!おまえたち」

後ろから荷物を運んでいる土井先生が遅れてやってきた。

乱太郎「土井先生!土井先生も手伝ってるの?」
土井「ああ、お前たちも手伝ってくれ!」

と頭をかきながらいうとしんべヱが「それどころじゃないよ」と慌てた様子で話してきた

どうやらしんべヱのパパさんのところから新型の銃が盗まれてしまったらしく二人でそれを取り返しに行くところだったらしい。

土井「それは、本当なのか?!」
しんべヱ「はい」

その時だった横の草木からガサガサと揺れる音が聞こえてみんながそれに反応する。

土井先生は忍びの顔になり警戒を強める。
土井「静かに、人の気配がする」
乱太郎「誰かいるんですか?」
「……一人のようですね」

土井「…!わかるのか?」

気配ぐらいなら何とか……と苦笑いしながら土井先生のほうを見た。そしてすぐに人の気配がするほうをにらみつける。

乱太郎「新式の銃を盗んだ犯人かもしれない」
きり丸「みんなで捕まえようぜ!」
土井「まぁ、待ちなさい」
「そうだよ、そこでむやみに向かえば…なにがあるか…」

わからないと言いかけたところできり丸、乱太郎、しんべヱが「もう待てない!」と言って人の気配がするほうへ飛び込んでいった

それをみて土井先生が大声を上げる

土井「あぁ〜!!戻ってくるんだ!危ないぞ!!

…ん?!」

三人「「「うわぁああああ〜!!!」」」

なぜか三人がこちらに弾き飛ばされるようにして飛び込んで戻ってくるしんべヱは荷車の下の地面に乱太郎は荷物の中に切り丸は荷車の横側の地面に激突した。

土井「な、なにものだ!?」

「土井先生!お久しぶりです」

乱太郎たちを追い返した人物がこちらに向けて声をかけてきた。木の影から現れたのは意外な人物だった

土井「おお!山田先生のところの息子の利吉君!!」

利吉「父がお世話になっています」
「利吉さんお久しぶりです」

利吉「蒼真君久しぶりだね」

三人はがっかりしたかのように「なんだぁ〜」と声を上げる

利吉「ごめんごめん」
土井「お前たちが束になっても敵う相手じゃない

それより、利吉君はこんなところで何をしているんです?」

利吉「実はドクタケ城が「新式の銃を欲しがっている」という情報がありまして」

「「「えっ、ドクタケ城?!」」」

利吉「おそらく歯輪銃(しりんじゅう)だと思うんですが…」

土井「歯輪銃?」

利吉「火縄が長くても打てる銃のことです。」
しんべヱ「じゃあ、きっと犯人はドクタケ城の忍者だ!!」

利吉「犯人?」
土井「えぇ、実はしんべヱの父親のところの銃が」
と言いかけたところで利吉は全てを悟ったように「そうですか」と納得の声を上げた

利吉「ドクタケ城の奴らその盗んだ銃を手本に大量に歯輪銃を生産するつもりだな!!」

乱太郎「ドクタケ城へ急げ」

二人「「おお〜!!!」」

きり丸達が気合の声を上げるところを利吉が両手を広げて慌てて止めに入る。

利吉「あぁ〜待って、待って」
土井先生が後ろから小声で利吉さんに話しかけてきた

土井「利吉君、ここは「水月の術」でいく」
利吉「え?!」

土井「ドクタケ城へ急げ」
利吉「あ、はい!」
「はい!」

土井先生の後を利吉さんが追いかけて僕も追いかける。

( ゚д゚)ポカーンとしている三人を振り返ると置いてけぼりになっているので声をかける

「きり丸、乱太郎、しんべヱ!!どうしての?早くおいで!!」

三人は水月の術のことを忘れてしまったようで土井先生がついてくればわかるということで僕たちはドクタケ城へと足を運んだ。

土井先生と利吉さんは別ルートで僕たち四人はドクタケ城の排水溝と思われる小さな穴を見つけたため川の中を歩いて侵入し排水溝を目指す。

川の中は深いのかと覚悟していたが、思いのほか浅くて安心したのもつかの間乱太郎の後ろにいたしんべヱが足を滑らしたのかバシャバシャとおぼれ始めた。

その水面をみたドクタケの忍びが幹部の八方斎に声をかける。

八方斎は慌てることなくここに誰かが侵入してきたのだと悟り怪しい笑みを浮かべる。

排水溝から城の中へ入れると思った出入口で待ち構えていたのはドクタケの忍者の一人だった。

「うわっ?!」

きり丸「うわっ!」
乱太郎「ああ!!」

忍者の一人に強引に引っ張り出されて、地面にたたきつけられた目の前に立っていたのは幹部の八方斎だった

八方斎「どんなあほかと思えばまだ、子供じゃないか!」

きり丸「あぁあ〜!!」
きり丸が顔を上げて八方斎の顔を見るなり大声を上げる八方斎もきり丸や僕たちの顔を見て大声を上げる。

きり丸「お前は冷えたチンゲン菜?!」←
八方斎「稗田八方斎じゃ!このドアホ!!」

きり丸や乱太郎たちが刀を構える。
しかし、忍者数名に囲まれて刀を折られてたんこぶが二人の頭にできてしまい二人は涙目になる

「乱太郎!きり丸!!っ、く……よくも二人を!」

八方斎「ほぉ〜…お前も戦うというのか?」

「はぁあ〜!!」
忍者の一人に戦いを挑むだが、所詮大人と子供
相手はどんなにほかの城より雑魚と呼ばれようともプロの忍者の一人なのだ。

今の僕の身体では適うはずもなく相手の一人にからいじめにあい身動きがとれずにいた。

「ぐぅう!!」

きり丸「っ、蒼真!!くそ、兄貴がピンチなときにしんべヱはなにしてんだよ!」

乱太郎「もしかして、運よく逃げ切れたのかも!」

だが、しんべヱは排水溝に詰まっているところをドクタケの忍者に救出されたのちにつかまってしまって縄で縛られている。

僕も拘束されている状態で人質は二人という最悪な状態になってしまった。

八方斎「二人ともしんべヱと蒼真の命が欲しければ刀を捨てろ」

きり丸「くっ、卑怯な…」
二人は折れた刀を地面に捨てると八方斎が高笑いし地面に頭から真っ逆さまになりシノビたちに起こしてもらっていた。
その時、ドクタケ城主が直々に騒ぎを聞きつけてやってきてた

八方斎「殿!」

「「「「殿!?」」」」

城主「そうじゃ、わしがドクタケの城主木野小次郎丈高である!」