痛みの鈍さの段!

狼子供の一年生の編入の噂は、翌日すぐに広まった
一年生のは組に編入することが決まった。

なれない部屋で眠れないかと思ったが疲れもたまっていたせいでいつの間にか朝になっていた。

新野「おや、起きましたね‥‥気分はどうですか?」

「‥‥ぅ?」

身体が少し怠いが‥‥動けないほどじゃない‥‥。
僕は首を横に振った。

すると医者だろうか?「診察をするね」と言われてされるがままの状態になっていた。

まぁ刺して酷い傷は手裏剣や刀のかすり傷ぐらいだからすぐに治るだろうと思ったのだが‥‥。

新野「う〜ん‥‥」
土井「どうですか?新野先生」

いつの間にか新野先生の隣に現れた土井先生がさも当然のように新野先生と呼ばれた男の人に話しかけている。

新野「手首の傷は刀や手裏剣の傷デスがかすり傷ですので問題はないでしょう‥‥

ですが、お腹の傷や足首の傷は火縄銃による傷です‥‥
特にお腹の傷は貫通しているので治るのにも時間はかかりそうです。」

土井「そうですか‥‥」

そういえば‥‥僕はお腹と足首を撃たれたんだった‥‥。
道理で少しジンジンすると思った。

僕の身体は異常に治りが早いから問題はないだろう‥‥。
ハーフの子供は特別治癒能力があるのだと母上から教えてもらったことがある。

土井「痛みはあるかい?」

「‥‥」

首を横に振った。すると土井先生と新野先生は神妙そうな顔をした。
新野【どうやら痛みがあるとわかっていないのかもしれません】

土井【そのようですね‥‥明らかにこの傷は痛みがないというきずではないですからね】

新野【もしかしたら痛みに疎いのかもしれません‥‥

怪我をしても怪我をしているということに気づかないこともあるかもしれません】

土井【そうですね‥‥我々もそこは気を付けてみるようにします】

何やら妙な音が聞こえるが何も語らないので首をかしげいていると‥‥。

新野「この様子では全治二週間は必要でしょう‥‥

激しい動きは禁物ですよ?それと重たいものを持ったりもしてはいけません、傷口が開いてしまいますからね」

「いいですか?しっかりと守るように!」と念を押されてしまった‥‥。
僕は思わず素直にうなずいてしまったのをみて土井先生が苦笑いした。

土井「では‥‥私はこの後授業がありますので‥‥

ユキナまたな」

手を振ってその部屋を後にすると新野先生と二人きりになった

新野「それでは、私は君の朝食を持ってきますので

怪我が悪化しないようにこの部屋でおとなしくしていてください‥‥すぐに戻りますから」

と言って去っていった。

目が覚めて初めて一人きりになる僕は急に静かになった部屋を見渡す。


「‥‥‥ぼく‥‥は、‥‥‥どうして

‥‥いきて、‥‥いるの?」

思い浮かぶのは守れなかった両親のこと。
ここは戦のない平成の世ではない‥‥戦や山賊戦いなんてしょっちゅうノ忍びのいる室町時代なのだ‥‥

未来から追い出され過去の世界に飛び
この世界で生を受けてあまつさえ両親を奪われてしまった。

ぼくにどうしてほしいのだろうか?
部屋の隅の壁に寄りかかり体育座りをして膝に顔を埋める

「‥‥ちち‥‥うえ‥‥はは、うえ‥‥」

泣くな‥‥僕は二人の分まで生きなくてはいけないのだから
身体は子供でも中身は大人なのだから‥‥
一人で生きていく方法を考えろ‥‥。

そう言い聞かせる。
でも‥‥一人になった今は‥‥せめて

亡くなった二人のために‥‥泣かせてください‥‥。


2019/02/27