目覚めと警戒の段

目を覚ますとあたりは真っ暗だった‥‥
暗い空から少しずつ明るくなっていくのでそろそろ夜明けの時間帯なのだろう‥‥

そして知らない天井が視界に入る。
ここは…一体どこなんだろうか?


今までの経緯を振り返ってみる。
僕は三次元の世界の人間だった18歳の高校三年生
医学を学ぶために大学受験をしていたが学校の帰り道で事故に遭い、そのまま一度目の人生が終わった

二度めの人生は波乱の人生の幕開けだった。
普通の人間としての子供で生まれ変わったのではなく
父親が狼母親が人間というハーフの子供に生まれてしまったのである。

両親は人目につかぬように家は森の中で暮らすことにした
食料何かは母親が人間のために街へ行って働いてごはんを作ってくれたりしていた。

僕は父親から狩りの仕方などを教わったりしていた。
香と言っても僕も主に母親の血を濃く受け継いでいるので姿は人間だけど耳やお尻には狼独特の尻尾と耳を生やしていた。

僕の感情に左右されて耳と尻尾が出てきてしまうらしい。
普段落ち着いている状態であればしまうことは可能である。

母上と父上が武器を持った人間に殺された時
思わず音を立てて叫んでしまい僕の姿を見て追いかけてきたのだ

僕は足には自信があった。
本気を出せば人間なんか相手ではないと思っていたが
火縄銃で足を打たれて早く走れなくなり追い詰められた僕は二発目を食らい死ぬのかと思ったけど見知らぬ人間に助けられた‥‥

そこで意識は途切れてしまった‥‥。

起きた時にみた青年に手当てを受けてまた眠ってしまい
目が覚めたらだれもいなかった。
ここは‥‥人間の住処‥‥なのか?
複数の気配をあちこちで感じる。

警戒しているものを天井からも感じられる。

僕を見張っているらしい‥‥
取りあえず売り飛ばされる前に逃げなければ‥‥
人が寄り付かない安全な場所に‥‥

部屋を出ていこうとした時にキランと何かが光ったのを見つけた…
手に取るとガラスの尖った破片だった。

どうせ、殺されるなら‥‥自分で苦しまずに死にたい‥‥

この時代は危険だ‥‥
戦争が頻繁に起こり頼りだった父上、母上が死んでしまい
僕はこの時代では生きにくいハーフの子供。

破片をぎゅっと力を込めて握るだけで血がぽたぽたと垂れていくのを見つめる。
確か頸動脈を斬れば苦しまずに死ねるかな?

掴んだ破片を振り上げようとするといつの間にか誰かが入ってきて「駄目だよ」と僕の手をパシッと掴んだ。

その声は聞いたことのある声だった

パシッと掴まれた衝撃で破片を落としてしまった。

「‥‥っ!」

「ほら‥‥怪我をしているじゃないか!

これは素手で持つと危ないんだ!!それに君は今、何をしようとしたんだい?」

顔を上げると青年が立っていた。僕を助けてくれた若い青年である。

「‥‥」

声は冷静だけど少し怒気が込められているようだ。
怒っているのかな?でも何で怒られているのかわからない。

「‥‥ど‥‥して」

「‥‥え?」

「‥‥どうして‥‥助けたんですか?」

初めて人間の前で言葉を口にした。
人間の言葉は母上から習ったものだ‥‥。
読み書きもある程度は出来る。

初めて話をしたから緊張した。声が震えてしまったようだ
僕は無情に彼を見つめると目を見開いた。
とても悲しそうな困った表情をしていた。

「‥‥それは」

何かを答えようとした時、もう一人部屋に入ってきた
先ほど手当てをしてくれたくせ毛のある青年だ。

「‥‥あ、利吉さん!お話終わったんですね?」

利吉と呼ばれたのは僕の手首を掴んでいる青年のことらしい
利吉「あ、あぁ‥‥それよりこの子の手を見てくれないかい?伊作君、怪我をしているようでね」

伊作と呼ばれた青年が僕の方へ慌てて駆け寄り手首を掴まれてじっと見る。

伊作「な、何で血が!?早く手当てをしないと」

そこから慌ただしく手当ての準備をしていた。
利吉「そういえば、伊作君は何処に行っていたんだい?」

伊作「すみません、ぼくは割れてしまった湯呑を片付けに行っていたんですが‥‥」

利吉「その破片が落ちていたらしくてね‥‥この子が素手で掴んでいた‥‥」

伊作「えっ!?素手で!?駄目じゃないか!!

刃物は素手で触るとすぐに切れてしまうんだ!!
他に怪我をしているところはないかい?」

僕は首を横に振った。

「‥‥どう‥‥して‥助けて‥‥くれるの?」

首をかしげながら訪ねた利吉さんと伊作さんはお互いを見合った。

伊作「それは僕が「保健委員」だから!」

「‥‥ほけん‥‥いいん?」

伊作「そう、怪我をしている人を手当てする役目を持ったひとのことだよ」

へぇ‥‥前世で僕も保健委員だったのをかすかに覚えているがここでも委員会活動何てあるんだ‥‥と思った。

手当てが終わり包帯を掌に巻かれていた。

伊作「よし、これで終わり‥‥破片が回収しきれなかった僕のせいでもあるけど、これからは素手で破片とか尖ったものには触っちゃだめだよ?」

と子供に言い聞かせるように優しく言ってくれた。
僕は素直にうなずいておくと「偉い偉い」と笑顔と頭を撫でてくれるさびーすをいただきました。

するとどこからか「目が覚めたようじゃの!」と声が聞こえた

ボフンと煙が上がりあたりが煙だらけその場にいた者たちが咳込み始めた。

投げた張本人であろう老人の人間もまた同じく咳込んでいた


利吉「学園長!煙玉を使わないでくださいよ!!」
学園長「よいではないか!ゲホッゲホッ‥‥」

「‥‥うぅ’’〜!!」

思わず警戒態勢をとる僕は耳と尻尾が生えてしまった。
煙が収まり老人の姿がはっきりと見えるようになった。

背後には黒い服を着た人間二人がいる。

学園長「あぁ〜よいよい‥‥わしはこの忍術学園の責任者、大川 平次 渦正(おおかわ へいじ うずまさ)じゃ!」


名前長いな‥‥それに今何て言った?
忍術学園ってきこえたけど?

学園長と名乗る老人が僕の名前を聞いてきた‥‥
名前…なんだっけ…?

えっと‥確か前世と同じ名前だった気がする‥‥

「‥‥‥う?」

背後にいた若い方の男が学園長に小声で話しかける
「学園長‥‥言葉がわからないのでは?」

学園長はただ「うむ…」と考えるので‥‥小さく答えた

「‥‥ユキナ」


学園長「ユキナか良い名じゃ‥‥本題に入るが其方は何者じゃ?」

「‥‥ぅ?」

学園長が首をかしげるのを真似するかのようにユキナも首をかしげる‥‥

何者と言われても‥‥一般人と答えた方がいいのか
子供のふりをしようと決めた‥‥
話がややこしくなりそうだから‥‥

学園長「‥‥生まれはどこなのじゃ?」

「‥‥裏裏山」

学園長「ほぉー‥‥裏裏山とな?

両親はどうしたんじゃ‥‥」

「‥‥もぅ‥‥いない。

遠くへ行っちゃった‥‥でも‥‥僕は帰らなくちゃ‥‥」

すぅと立ち上がり部屋を出ようと歩き出す
それを僕の手首を掴んで止めた人がいた

パ*っ

「‥‥ぅ?」

伊作「駄目だよそんな状態で歩いちゃ‥‥

また傷口が開いちゃうし‥‥それにまた森へ戻ったら山賊にまた襲われちゃうよ?」

「‥‥でも、‥‥ここにいたら迷惑‥‥かけちゃうから

それに‥‥僕は、‥‥人里のところにいちゃいけないと

言われているから‥‥」

そう母上が言っていた皆が驚いて攻撃したりしたら心配するから感情のコントロールが出来るまでは一人でいちゃダメって‥‥。

学園長「誰に言われたんじゃ?」

「‥‥ははうえ」

学園長「君の母上は‥‥?」

「僕のははうえは、‥‥にんげん‥‥でした

ちちうえは‥‥狼でした‥‥僕はその間に生まれた子です」

利吉(やはり‥‥)

「僕は‥‥異質だから‥‥ふつうとは違うから‥‥

人前にでちゃだめって‥‥言われてた。
でも‥‥ある日、にんげんが僕たちを見つけちゃって

襲われた‥‥ははうえも、ちちうえも‥‥その時にころされちゃった‥‥ぼくは思わず飛び出してしまった‥‥

だから追われてた‥‥」

学園長「それで利吉君に助けられた‥‥というわけだな?」

「‥‥りきち?」

利吉「私のことだよ」

振り返ると伊作の隣に利吉と名乗る青年が前に出てきた。

「‥‥ここは‥‥どこですか?」

学園長「ここは忍者になるための育成の場「忍術学園」その中の医務室にお前さんは保護されたんじゃ」

「‥‥ほご?」

学園長「お主は森に戻ったとして‥‥これからどうするのじゃ?」

「‥‥人間に見つからないように‥‥ひっそりと暮らします」

学園長「お主ひとりでか?まだ5〜6歳くらいなのに?」

「‥‥ちちうえに狩りの仕方を教えてもらったから

だいじょうぶ‥‥ひとりでもへいきです!」

学園長「ならば‥‥お主ここで生徒として学ばないか?」

「‥‥え?」

他の人達も口をポカーンと開いて「はぁ?」と声を出す
今まで黙っていた学園長の後ろにいる二人が慌てて声を潜めながら講義をする

「ちょっ、学園長いくら何でもそれはまずいですって!」

若い方が否定する。それに賛同する

「そうですよ!それにこの学園は10歳からですよ?!

彼はまだ5,6歳なんです!早すぎますよ!」

いや、突っ込むところそこ!?
普通怪しい奴っていって間者かどうかを疑うべきじゃない?!

「それにいくら子供と言えど間者という可能性も大いにあり得ます」

学園長「‥‥山田先生、お主は自分の息子を信じられぬのか?」

山田先生は「う、‥‥それは」とたじろぐ
息子って‥‥誰のことだろう?

学園長「‥‥それに土井先生彼はとても賢い上に身体能力は人並み以上だとワシは睨んだ‥‥

十分な洞察力と嗅覚それに身体能力一年生より備わっていると見える‥‥ぜひここで学んでもらいもんじゃて」

ニコニコと笑いながらこちらを見た。

「‥‥でも、‥‥ぼく‥‥人間のお金‥‥もってない」

学園長「‥‥ここは学園じゃ、子供一人養うかねくらいあるわい!!

お主ワシの孫にならんか?」

「‥‥え?‥‥まご?」

まさかの申し出に首をかしげる。
行く何でも突拍子すぎるのでは?‥‥と思うのは僕だけじゃないはず‥‥←

「‥‥でも‥‥ほかのひとたちが‥‥めいわくじゃ」

学園長「大丈夫じゃ!わしが説得する!

お主は怪我が治り次第一年生の編入生として入学するんじゃ!!よいな!」

「‥‥え!‥‥はぃ」

勢いに乗せてくるので思わずたじろぎながら頷いてしまった。

学園長は「そうかそうか!それじゃあしっかり療養するんじゃぞ!!」

と言って去っていった‥‥いつの間にか先生たちもいなくなっている。

取り残された利吉と伊作とユキナは嵐が去ったかのように唖然としていた。

「‥‥ぇっと」

利吉「まぁ、何はともあれ‥‥今後のことがきまってよかった‥‥ここにいるなら安心だね!」

伊作「そうですね!これからは僕の後輩になるんだし!

あ、自己紹介がまだだったね僕はここの学園の生徒で六年は組の善法寺伊作っていうんだ!

よろしくねユキナちゃん!」


「‥‥はい、こちらこそよろしく願いします?」

利吉「なんで疑問形なんだ?苦笑)

私も自己紹介をしておこう私は先ほどいらしていた山田伝蔵の息子でフリーの忍者をしている「山田 利吉」いいます

よろしくねユキナちゃん!」

「‥‥あ、‥‥はい!」

利吉「さて、‥‥わたしはこれから忍務があるので‥‥

これで失礼させてもらうよ?
忍務がない日で来れる日は様子をたまに見に来るから!
君も無茶しちゃだめだよ?」

僕の方を見てニコッと微笑んできたので静かにうなずくといい子だと頭を撫でてくれた
人に撫でられるのっていつ以来だろう‥‥?


利吉「それじゃあ‥‥伊作君あとはお願いしていいかな?」

伊作「はい、任せてください!利吉さんも気を付けて!」

利吉「あぁ!それじゃあね」

そういって利吉さんも去っていった。
夜明けが来る‥‥

伊作「あぁ、そろそろ夜明けだねもう少しだけ寝てていいヨ?あとで起こしてあげるから‥‥」

「‥‥でも」

伊作さん曰く「ケガをしている人が休まないでいるなんて見過ごせない」とのことだった。
布団に押し戻されて横になると自然と睡魔が襲ってきた。

ウトウトと瞼がゆっくりと閉じていく
その様子を見て伊作さんは僕の頭を撫でながら「おやすみ」と言ってきた・・・・

僕の意識はそこで終わった。


これから忍術学園の一年生として編入することになったのをみんなが噂が広まるのは昼頃でした。

2019/02/21