人気の少ない中段くらいある石段の上に登っていくと少しだけ古びた大きな神社が存在していた。
その神社ではかつて、「弥代(やしろ)の神社」として盛んだったのだが‥‥ある日を境に人とのかかわりは減っていき今ではほとんど人が通らないような場所と化していった‥‥。
そんな神社でもやはり神をまつる祠でもある寺には一人の少女が白と赤の和服の姿をしていた
綺麗な鈴をシャランシャランと鳴らしながら舞を踊る。
そして中央の宝玉のようなたまに祝詞をささげる。
それはこの神社を守る夜神 ユキナの役目なのだ‥‥。
彼女は18歳‥‥。高校生だが‥‥育ての親である祖父にこの神社を任されているので多少の霊力と特殊能力がある。
それは決して人には言ってはいけないこと‥‥
自分の為には使ってはいけないと厳しく言い聞かせてきたのだ
夜神家には遥か昔から「治癒能力」がある
しかし、ただの治癒能力ではない‥‥負傷した相手の傷をすぐに消してしまうという便利な能力だ。
ただの便利な能力というだけではない‥‥
どんなに都合のいい能力でもやはりメリットとデメリットが存在するのだ。
夜神家の治癒能力の場合自分の負傷した傷は治せない。
相手の治癒は可能だが命の危機に瀕した傷を治す場合能力を発動したものが死ぬ場合もあるのだ‥‥。
もうわかったものもいるだろう…
治癒能力の代償は「己の寿命」だ‥‥
力を発動した場合力の使用量で体力に負担をかけてしまうので眠り込んでしまう場合が多い。
夜神家はもとより自分の回復力は一段と高いのだが…
痛みや疲労はかなりのもののようで若くして亡くなる家族も多かったようだ…
祖父はその経験を孫娘のユキナに話したのだ‥‥
ユキナが幼いころに突然としていなくなった父「夜神 蒼真」もこの神社の神隠しにあい二度と戻ってこなかった。
母も、元々身体が弱かったためにユキナを産んで二年ぐらいにして身体が耐え切れずに亡くなってしまった‥‥。
だから祖父である「夜神 次郎」が孫娘を育てると引きとったのだ…。
次郎は、厳しく有賀ならも愛情を名いっぱい注いだ
神の悪戯により姿を消してしまった息子の「蒼真」と
身体が弱いせいで亡くなった息子の嫁の「楓」の分まで…。
しかし、そんな次郎も歳の寿命からつい先日亡くなってしまった。
ユキナは独りぼっちになってしまったのだ‥‥。
愛する祖父を失った悲しみを忘れるかのように毎日毎日神社に祝詞と舞をつづけた。
そんなある日…
何時ものように舞い続けたユキナの想いに答えるかのように弥代神社の祠の宝玉がユキナを包み込むように淡い光を放った
≪≪‥‥汝、願いを聴き入れた≫≫
そこで少女は意識を手放した
先ほどまでいた少女は弥代の神社の中から姿を消してしまったのだった‥‥。