命がけの交渉の段

ついにやってきてしまった‥‥学園長の庵‥‥中には先生たちだろうか複数の気配がする
緊迫した空気に思わず身体が硬直する
それを見た伊作は苦笑いしながら頭を撫でて「大丈夫だよ僕がいるから」と優しくユキナに話しかけてくる。

いや、逆にそれが不安なんだよ‥‥と内心口になってしまった
入れという声で失礼しますと真剣な表情で伊作が障子を開く。
やはり先生たちが集結していた。

学園長「‥‥座りなさい‥‥」

ユキナたちは静かに座った。
伊作はユキナの隣に座った‥‥さぁこれから命がけ地獄の交渉が始まる‥‥
ユキナがこの時代で生き残るための‥‥

学園長「‥‥さて、お主に質問したいことがある‥‥よいかの?」

駄目と言っても聞くんでしょ?と内心突っ込みながらも静かにうなずく。

学園長「‥‥お主の名前は?」

「‥‥夜神 ユキナ‥‥です」

僕の名字に反応したのか「やがみ?」と首をかしげながら復唱する。
伊作も先生も同じだった。
夜神という苗字に聞覚えがあるのか学園長が口を開いた。

学園長「お主は‥‥「平成の世」から来たのかの?」

何故わかった!?天女だと疑われているのか!?
もしかして‥‥早くも殺される!?

思わず目を見開いて反応してしまった。

学園長「‥‥お主「夜神 蒼真」という男を知らんかね?」

「‥‥えっ!?」

意外なところで出た「父親の名前」に反応した。
何故学園長が知っている!?
父は神隠しに遭い行方不明になったと祖父から聞いたことがある。

「‥‥なぜ、‥‥「父」を知っているんですか!?」

「「「「?!!!」」」」

この場にいたものが驚きの表情をした。

「父…だと!?」

誰かが声を上げる…。騒めき始めた先生たちに静まれと学園長が一言いうだけでピタリと静まった。

学園長「‥‥お主は裏裏山にいたと聞いた…話をしてくれんかの?」

僕は諦めて経緯を話し始めた。
生まれて4歳ぐらいの時に父が神隠しに遭い行方不明だったこと
祖父に育てられて神社で巫女をしていたこと。
時が流れて巫女をしているときに謎の光に包まれて意識を手放したこと
気が付けばあの森の中にいて何日かを洞窟の中で過ごしたが山賊に見つかれにげていたところで彼ら(保健委員)にであったことを話した。
そう、あくまで子供らしく。
幼児化したことをあえて言わないことにした。

「‥‥ぼくの‥‥ちちは4歳の時に‥‥かみかくしにあったって

祖父が‥‥いってました。

そだててくれたおじいちゃんは遠いところに行ってしまった。

ぼくはひとりでじんじゃを護るために‥‥みこをしていました

そしたらきゅうにいしきがなくなって‥‥きがついたら森にいました

なんにちかを見つけたどうくつですごしていました

さんぞくにみつかってにげていたらお兄さんたちにたすけられました」

しーんと静まる庵の部屋。
学園長は「なるほどのぉ〜」と腕を組みながら頷いている。
伊作「‥‥え、きみがひとりで何日もサバイバルをしていたのかい!?」

「‥‥コクリ)」

僕は頷いた。すると表情を硬くする伊作の姿に首を傾げた。

学園長「して‥‥伊作たちにあったのか‥‥よく生きていられたのぉ〜」

感心するようにいう学園長に

「お魚つったりした‥‥」

学園長「逞しいのぉ‥‥流石は蒼真の子じゃ‥‥」

「‥‥あの、‥‥どうしてあなたは‥‥ぼくのちちをしっているんですか?」

学園長「そうじゃな‥‥お主には話しておくべきじゃろう‥‥

蒼真はなぁ‥‥8年くらい前にやってきての‥‥
自分は平成の世から来た”と言っておったわい‥‥‥

始めは間者かどうか疑ったが太陽な陽気な明るさと人柄にみんなが心を惹かれての
事務員になったんじゃ‥‥
忍びの素質もあったため六年生や他の学年たちと共に学んでおったわい」

「‥‥ちちは‥‥今もこの学園…にいるんですか?」

いるんだったら‥‥あいたい!
僕は幽かな希望を胸に抱いた‥‥が空気は少し重くなったのを肌で感じた。

学園長「‥‥あいつはのぉ‥‥学園を守り‥‥死んだ」

「‥‥っ?!」

「‥‥が、‥‥学園長先生!汗)」

と近くにいた若い青年がユキナの様子を見て小声で話しかける。
死んだ‥‥その言葉が重くのしかかる。

学園長「‥‥お主はこれからどうするのじゃ?」

「‥‥らくに‥‥死にたいです‥‥」

「「「「‥‥‥!!」」」」

学園長は学園を護るために死んだ‥‥そういっていたが
天女伝説があるくらいだ
平成の世からきたものをよしとしないだろう‥‥。
父は‥‥彼らに殺されたのかもしれない‥‥。

僕もいづれ‥‥父の後を追っていくのだろう‥‥
どうせ死ぬのなら‥‥苦しまずに死にたい‥‥

変に学園に関わっていくよりはましだろうと自己判断した。

伊作「‥‥っ!学園長先生!お願いしますこの子を学園にいさせてあげてください」

と頭を勢いよく下げる伊作に誰もが驚いた。

伊作「この子は今混乱しています。落ち着く時間も必要でしょう‥‥」

学園長「‥‥うむ、そうじゃの…。」

いや、僕はどちらかというと早く学園から出たいです…←

学園長「‥‥お主‥‥忍たまになる気はないかの?」

「「「「学園長先生!?!」」」」

爆弾発言に思わず先生たちが膝を立てて抗議の声を上げる。

「‥‥え?」

学園長「本来なら…くノ一になってもらうのじゃが‥‥くノ一より忍たまの方が性に合っていると思うのだが‥‥どうじゃ?」

「‥‥でも、‥‥こんな素性のわからないぼくを‥‥にんたま?にしたら

ほかのせいとたちも迷惑じゃないんですか?

ほかのせいとたちにきけんが及ぶかも‥‥」

「なんできみはそんな冷静なんだ…汗)」

若い青年の隣に少し老けた男の人がいた‥‥。
たしか、山田…先生だったかな?

「それに‥‥ぼくはまだ7さいですし‥‥やくにたたないとおもいますよ?」

学園長「ほっほっホッそれくらい自分の立ち位置がはっきりしている子はなかなかそうはいない‥‥大丈夫君はとても秀才な子じゃよ‥‥」

と言って僕の頭を撫でた。

いつの間に前にきてたんだ‥‥汗)


学園長「というわけじゃ!怪我が完治してから忍たまの一年は組に編入生として入れる!

しっかり療養するように!以上じゃ‥‥異論は認めん」

解散ということで僕たちはその場で解散ということになった。

先生たちは去っていく学園長に待ってください学園長!!といって追いかけていった取り残されたのは僕と伊作さんと新野先生と美しいお姉さまだった。

「‥‥え‥‥っと」
新野「‥‥はぁ、学園長の思い付きにも困ったものですね‥‥」
伊作「あはは‥‥そうですね‥‥苦笑)

でも驚いたよ‥‥きみ蒼真さんの娘さんだったんだね?」

「‥‥え?父を知っているんですか?」

と聞くと勿論だよと笑顔で答えてくれた。話を聞こうとすると女の人が近づいてきた

「‥‥ユキナちゃん」

「‥‥えっと‥‥あなたは?」

「私は山本シナっていうのよ!くノ一教室の先生をしているのよろしくね?」

と言って目線に合わせてしゃがみウィンクをした‥‥綺麗なお姉さまだな‥‥

「あ‥‥はい!夜神 ユキナです‥‥よろしくお願いします?」

伊作「なんで疑問形ナノ?」

「な、‥‥なんとなくです」

シナ「‥‥クスッ)貴方は女の子なんだから何か困ったことがあったらいつでも相談に来て頂戴‥‥くノ一の子でもいいのよ?話は通しておくから‥‥

あとで着替え用の着物も渡すわね?」

「あ、‥‥何から何までありがとうございます」


ぺこりと頭を下げると頭を撫でられた‥‥みんな頭を撫でるのが好きなのかな?
新野「それでは‥‥そろそろ医務室へ戻りましょうか?」
伊作「あ、はい!ユキナちゃん‥‥ごめんね?」

また抱きかかえられて僕はそのまま医務室へ向かった。


こうして地獄の交渉は‥‥一年生編入で終わったのだ‥‥
これからどうなるのだろうか?
まさか‥‥これから毎日上級生たちに警戒されながら
僕はいつ殺されるのだろうかとびくびくしながら寝ないといけないのだろうか?

それは嫌だな‥‥←

ぼく‥‥いきのこれるのかな?

神様‥‥もしいるのでしたら悪戯しないで僕を‥‥平和な平成へ返してください

僕は医務室に着くまでずっと伊作さんに抱かれたままでいた。

神隠しの段END

- 9 -