忍術学園への段
目の前で涙目になっている三人は忍者の卵「忍たま」というらしい。彼らは10歳でまだ一年生だというのだ。
僕とは5つ年下か‥‥逞しいな‥‥
なんて思いながらそういえば山賊たちは峰内程度だから時期に目を覚ます
また襲い掛かってくると面倒なのでそれを彼らに伝えるとしぶしぶ納得したようにその場を離れることにした。
特に目的地もないのだが、護衛という形で彼らを家まで送ることにした。
乱太郎「‥‥先輩本当に覚えて‥‥ないんですか?」
「‥‥あ、あぁ‥‥すまん。多分君のいう「疾風 蒼真」とは別人だと思うぞ?」
きり丸「そんなはずありませんよ!」
乱太郎「きり丸‥‥」
きり丸「だってその刀、刃が青かったですもん!
それ妖刀ですよね!?名前を「蒼陽」選ばれたものにしか抜けない刀…先輩しか扱えないはずなんですよ!?」
しんべヱ「先輩の目も蒼い綺麗な海の色だもんね!」
乱太郎「絶対にそうだよ!先生たちも先輩が生きているってわかったら喜ぶだろうな〜!」
しんべヱ「泣いて喜ぶようふふ」
三人は笑いあっている。
いや、帰ってきたという話から連絡の取れない状況にあったのだろう‥‥そこで突然ぼくが姿を現したら忍びとして絶対に間者だと疑われると思うのだが‥‥。
森の中をしばらく歩くと大きな屋敷のような施設が見えた。
立派な門の看板には「忍術学園」と書かれた。
僕はそれを見て思わず「いや、忍べよ!忍びらしく!」
と心の中で突っ込みを入れてしまった。
そんな心中を無視した乱太郎君たちは門をノックすると「はぁ〜い」と元気なさげな感じの緩い声が聞こえた。
「あ、乱太郎君、きり丸君、しんべヱ君お帰りなさい〜
随分遅かったねぇ〜先生たちが心配してたよ?」
胸元に「事務員」と書かれたNAMEが張ってある個々の職員だろうか‥‥
ここまでくればもう大丈夫だろう‥‥
僕は街の方へ行こうと乱太郎君たちに声をかける
「ここまでくれば安心だな‥‥乱太郎君たち、僕はこれで失礼するよ」
「「「えぇ〜!!」」」
乱太郎「いっちゃうんですか?!」
きり丸「なにいってんっすか!?先輩の帰る場所はここじゃないっすか?!」
しんべヱ「そうですよ!」
と僕の服を掴んで放そうとしない三人に困惑していると視線を感じたので顔を上げると事務員の人が幽霊でも見たかのように驚いた顔をした。
「‥‥ぇ、‥‥そ‥‥そんなまさか、きみもしかして‥‥
疾風君!?」
彼も僕のそっくりさんを知っているらしい。
でも僕は彼を知らない。
そんなに似ているのかな?
だとしたら申し訳ない‥‥
「は、‥‥はい確かに僕は疾風 蒼真ですが‥‥
僕は貴方とは初対面のはずですが?」
事務員の人は「な、何言ってるのぉ〜!」と信じられない顔をする。
「僕の名前は小松田秀作です!事務員をしているんだよ!
忘れちゃったのぉ〜!?」
乱太郎「小松田さん!ちょっと」
小松田さんを少し離れた場所へ引っ張るとこそこそと話し始めた。
乱太郎「先輩はあの事件のショックでどうやら記憶をなくしちゃったみたいなんですよ!」
きり丸「でも刀や瞳は同じ六年は組の疾風先輩の物でした」
しんべヱ「戦い方も無駄のないカッコいい動きしていたもんねぇ〜」
小松田「そうなんだ〜じゃあ、彼は本物?なんだね?
彼は生きていたんだね!?」
「「「そうなんです!」」」
「‥‥あ、あのぉ〜そろそろ行きますよぉ?」
乱太郎「あ、待ってください!助けてくれたお礼がまだできていません!」
「いや、別にたまたま通りかかっただけだしほら‥‥もう暗くなるからな子供は寝る時間だろう?」
「おぉ~い!お前たち何を騒いでいるんだ〜!」
「「「土井先生!山田先生!」」」
建物から出てきたのは黒い服を着た青年と少し年取ったおじさんだった。
土井「お前たち、校門まで何を騒いでいるんだ!」
乱太郎「土井先生!生きていたんですよ!」
土井「誰がだ?」
「「「疾風先輩です!!」」」
口をそろえて言う三人に山田先生と土井先生と呼ばれた二人がお互いを見合って複雑そうな顔をした。
生きていたって‥‥死んだっていう意味だよな?
このままだと僕の命‥‥危ないような気がするのは気のせいか?
山田「‥‥あのなぁ、お前たち‥‥」
土井「彼のことを慕っていたのは知っているがそろそろ立ち直らないと前には進めないぞ‥‥」
きり丸「違うんっすよ!!土井先生!俺達お使いの帰りに山賊に襲われたところを!」
しんべヱ「疾風先輩がたすけれてくれたんです!!」
土井「いや、だから‥‥彼は‥‥もぅ」
乱太郎「今、ここにおられるのに見えないんですか!?」
乱太郎君がしびれを切らして空気となっていた僕を指さした。指をたどってようやく僕の姿を捕らえた土井先生?がこちらをみてこれでもかというくらいに目を見開いて驚いてたいた‥‥それは山田先生も同じだった。
土井「な!‥‥き、きみは?!」
土井≪‥‥っ!?‥‥んな‥‥まさか!≫
※下の蘭は矢羽音で会話をしています
山田「何故‥‥君がいるんだ‥‥?」
山田≪土井先生‥‥落ち着きなさい敵の変装かもしれん≫
「こ、こんばんわ?疾風 蒼真といいます
貴方たちも僕のことを知っているんですか?」
土井「どいうことだい?」
土井≪っ!‥‥はい、その可能性は十分にありますね
落ち込んでいる乱太郎たちに疾風に成りすまして情報を聞き出そうとしている間者かもしれません
ですが‥‥すでに亡くなっているものをわざわざ変装してくるでしょうか?≫
乱太郎「土井先生、山田先生‥‥実は」
山田「なるほどなぁ〜」
山田≪‥‥混乱を陥れるためにわざと傷をえぐるような人物を選んだのかもしれんぞ?≫
土井「‥‥きり丸たちを助けてくれてありがとうございました」
土井≪でも、は組のあの三人が懐いているようにも見えます≫
「いえ、僕は何もしていませんよ!」
乱太郎「そんなことありませんよ」
きり丸「えぇ、そうですよ!先輩かっこよかったっすよ!」
しんべヱ「それに‥‥先輩僕たちのことはげましてくれたもんね!あの言葉で」
山田「あの言葉?」
山田≪‥‥確かめる必要があるようだな‥‥≫
乱太郎「大丈夫‥‥僕が必ず守るから!って先輩微笑んでくれたんですよ!」
きり丸「いつも俺達に励ましてくれる先輩の口癖です」
土井「確かに何度か言っているのを耳にしたことがあったな」
土井≪そうですね≫
きり丸「でしょ〜!」
乱太郎「私たちその言葉を聞いてあの刀をみて絶対に疾風蒼真先輩だと確信したんですよ!」
しんべヱ「先輩の戦い方独特だからそれに無駄のない動きで一瞬だったしね」
二人の先生はお互いを見合い頷いた。
土井「‥‥えぇっと‥‥疾風君‥‥でいいかな?」
「ヘ?あ、はぃ‥‥」
土井「この子たちを助けてくれてありがとう。」
山田「私たちからも礼を言わせてくれありがとう」
二人は頭を下げてきた。
「え、いやいや僕はたまたま通りかかっただけですので‥‥こちらこそ夜分遅くに押しかけちゃってすみません」
お互い謝り合ったとこで学園長先生の部屋に案内すると言われて僕は先生方の後に続いた。