蘇る懐かしい記憶の欠片の段

学園長庵にて‥‥
学園長の両脇に土井半助・山田伝蔵が並び座り。
向かいにはかつて事件の騒動で亡くなった生徒と瓜二つの少年がチョコンと座った。

学園長「‥‥話は二人から聞いたが‥‥今一度お主からも聞こうかのぉ‥‥お主は何者じゃ?」

「‥‥は、‥‥はぁ、何者と言われましても‥‥

自分は、医療を目指す学生でした。平成の世からやってきたんですが‥‥ここは一体何時代なんですか?
見たところ室町か江戸時代っぽいんですが‥‥」

学園長「今は室町時代じゃ」

「‥‥っ!」
学園長「お主の持っているその刀‥‥それはどこで手に入れたんじゃ?」

「え、‥‥これで、すか?

これは倒れていた僕の近くにあったんです。
子供たちが山賊っぽい人たちに襲われていたのを見たので咄嗟に使ってしまいましたが‥‥

この学園のものですか?お返ししましょうか?」

学園長「いや、‥‥よい。

その刀は「妖刀」じゃ、選ばれたものにしか刀は抜けぬものでな‥‥かつてはここの生徒が持っていた物じゃ‥‥

名を蒼陽という」

「‥‥蒼陽」

手に持っている刀をじっと見つめながら復唱すると
すとんと心に入ってきた。
何だか手にしっくりカンがある初めてなのに不思議な感じ。

「僕は時々夢を見ていたんです。」

学園長「‥‥夢‥‥とな?」

「はぃ、今思えば夢の中の風景はこの学園ととてもよく似ていました。

楽しい友人と毎日を勉強して過ごして
委員会活動もして‥‥

ですが、ある日を境に友人たちがみんな敵意を自分に見せるようになりました。

そこから実技演習があるたびに攻撃の標的にされて
とても悲しい気持ちになったのを今でも覚えています‥‥。

もしこの学園でそいうことが起きているなら
その子からのSOSだったのかもしれません‥‥」

その話をすると土井先生たちが悲し気な表情をしていた。

学園長「‥‥ほぉー」

「僕はこの時代の人間ではありません「平成」という約500年後の未来からやってきました」

彼らは「平成」という言葉に反応した。
どうやら以前にも僕と同じようなものがきたのかもしれない。


学園長「ほぉー‥‥未来とな?」

「はぃ、確証はありませんが‥‥少なくとも僕のいた時代では刀や武器を装備しているものをしている者たちがいないのです。

何故この世界に来たかはわかりませんが‥‥
どうやら僕は、この学園に縁があるようにも思えるのです」

学園長「何故、そう思う‥‥」

「‥‥学園長殿が先ほど教えてくださったこの「蒼陽」という刀ですが初めて使ったにしては、手ごたえにしっくりとくるのです。

僕は剣術を得意としていましたから‥‥。

それに「夢」との関係‥‥と、さっきのきり丸君たちの言葉どうも胸にもやもやを感じることがあるんです。

何だか懐かしい呼ばれ方‥‥
何だか懐かしい雰囲気の場所‥‥


初めてのはずなのに何もかもが懐かしい‥‥

それでいて、とても怖いのです‥‥」

土井「怖い?」

今まで黙っていた土井先生が口を開いた。

「‥‥自分が何者なのか‥‥本当にこの学園とのかかわりがあったのか‥‥どうして僕にある人物の記憶が流れてくるのか‥‥それが今でもわかりません‥‥


だから怖いのです‥‥」

学園長「うむ‥‥ならばこうしよう!

お主名を何という?」

「‥‥疾風 蒼真です」

学園長「歳は?」

「え?15歳です」

学園長「よろしいならば、お主をこの学園の六年生へ編入させることにする!!」

土井・山田「「っな!!」」
「えっ?!」

何故か二人が目を見開いて声を上げる。
それに僕も声を同じようにのせる。

土井「学園長先生!!」
山田「突然の思い付きをしている場合じゃないですぞ!!」
学園長「思い付きじゃない!!せっかく生徒が一人「帰ってきたのだ」今まで道理学園で最後まで学んでもらうじゃないか」

「あ、あの!僕はこの学園に初めて来たのですよ!!

それに今まで道理って‥‥どいうことですか?!」

山田「学園長先生、いくらなんでもそれは無茶ですぞ」
土井「彼も混乱していますし」

学園長「ほっほっほっ、なぁに心配するな

例え記憶が忘れても身体は自然と沁みついているものだ。
記憶の方もいづれ時間が解決してくれる

あとはゆっくりと思い出せばいい」

「‥‥で、ですが‥‥貴方たち学園の方々がおっしゃっている「疾風 蒼真」と僕は「別人」ですよ?!

それにここは忍術学園ですよね?!さっきの看板にも書いてありました!!ド素人の僕が混ざったりしたら死にますよ!!」

そうこれは命に係わる重要な問題なのだ。

ここは何としても阻止せねばならない



その後学園長先生が「わしは人を見る目は確かじゃ安心しなさい」と笑っていた為強制的に僕はこの学園の生徒として過ごすことになるのであった。

僕は重たい足取りで不安な明日を迎えるべく部屋を案内されていた。

土井先生が言うには何でも「ぼく」が使っていた元々部屋を案内してくれるそうで‥‥

大丈夫なのだろうか?

「‥‥あ、あの土井、先生?」

土井「ん?なんだ?」

「大丈夫でしょうか?僕、死んでいることになっているんですよね?そんな姿が瓜二つ?の僕が彼の友人である長屋で寝泊まりして‥‥

もしかしたらぼく、友人に殺されるんじゃないでしょうか?」

土井「‥‥あはは‥‥まぁ、あいつらは上級生だけに疑い深いからな‥‥攻撃してくるかもしれんが‥‥

長年いた「友達」だろう?大丈夫だ‥‥いくらなんでも殺すなんてことはしないと思う」


苦笑いしながらいっても説得力がありませんよ‥‥

僕は「不安だ」と深いため息を吐きながら‥‥
長屋の部屋の前にたどり着いた。

部屋の前の立札には「疾風 蒼真」と書かれていた。

土井「部屋はまだそのままだから好きに使うと言い

明日の朝また迎えに来るよ‥‥」


土井先生はそいうと「ゆっくり休めよ」と言われ去っていてしまった

「‥‥あ」

一緒にいてほしかった‥‥

不安になりながらも恐る恐る部屋の扉に手を付けてゆっくりと開いた。

「‥‥‥‥」

その部屋をみた瞬間何だか懐かしい感じの記憶が流れてきた

お〜い蒼真いる?この薬の実験台になってほしいんだけど〜


笑顔で近づいてくるくせ毛の優しそうな人。

≪やめろ!!また妙な薬を作ったな!伊作!!

この前は僕が試した時幼児化になった事件を忘れたのか!?≫


そして僕と姿声が瓜二つの存在疾風 蒼真
慌てて拒否しながらもいつものやり取りをどことなくたのしそうにしていた。

蒼真〜用具委員の修理を手伝ってくれ〜!!人手不足なんだ


目つきが悪いが人がよさそうなお兄さんタイプの人。
≪あのな、留三郎!僕だって生物委員と火薬委員で忙しいんだぞ!?そこわかってる?!≫

無理無理と手を×にさせながら断っている僕。


蒼真〜バレーしよう!!


≪うわっ!!小平太腕を引っ張るな!!≫

モソモソ)‥‥蒼真、新しい本が手に入ったぞ


≪長次!ありがとうさっそく読んでみるよ≫

ギンギーン!遅いぞ蒼真今日は野外特訓をすると言ってあっただろう!!


≪うるせぇ{emj_ip_0792}文次!こちとら忙しいんだよ!!

お前らとは違って二つの委員会も掛け持ちしているんだからな!≫

それがお前の選んだ道だろう‥‥二つの委員会をかけ持ち何て大変に決まっているからな


≪仙蔵‥‥仕方ないだろう先生にお前ならできるとか言われて無理やり委員会を二つやらされているんだからさ‥‥≫

でも後輩好きのお前なら余裕だろう?


≪‥‥まぁな後輩たちが癒しを暮れるお陰で僕は頑張れる≫

そんなたわいもない話をしているがとても楽しそうな毎日を送っているもう一人の僕の存在。

君は‥‥もうこの学園にはいないのかい?

どうして僕を選んだんだ?

「‥‥はぁ、はぁ‥‥どうして‥‥ぼくを?」

激しい頭痛からパタリと倒れた僕はそこで意識を手放した。