僕は君で、君は僕 の段
暗い暗い闇の中で僕は一人ぽつんと佇んでいる。
あたりを見渡してもどこまでも闇の世界。
音もなく光もなく視界も感覚も五感が全て感じているのかわからない。
僕は浮いているのか地面に立っているのかさえもわからない。
≪‥‥ここは、君の意識の世界だよ‥‥≫
僕に似た声が響き渡る。
「‥‥だれ?」
ぽぅと光だしたその場所には僕と瓜二つの夢で出てきた少年が立っていた。
≪‥‥やぁ、≫
「‥‥君は‥‥ぼく?」
≪そう、僕は君であり、君は僕でもあるんだ‥‥≫
意味が解らない‥‥
「どいうこと?」
≪夢を見たでしょう‥‥?≫
「夢‥‥」
そうだ確かにこの世界に来る前に僕は夢を見た。
とても悲しい夢‥‥
ずっと過ごしてきた友達が一人の異界から来た天女と呼ばれる存在により奪われ‥‥
忍術学園が崩壊寸前のところまで来てしまっていた‥‥
そこで行動したのが目の前の僕‥‥
友達を助けるために‥‥体を張って委員会活動を頑張っていた‥‥だけどかつての友人に裏裏山まで呼び出されて
手を出したという噂を真に受けて目の敵のように攻撃を仕掛けてきたのだ‥‥。
痛い‥‥痛い‥‥
どうして?僕を信じてくれないの?
どうして‥‥長年共に過ごしてきた僕より
異界から来た人間を信じるの?
お願い‥‥元に戻ってよ‥‥!
文次‥‥
留‥‥
伊作‥‥
仙蔵‥‥
こへ‥‥
長次‥‥
もう‥‥戻せないのか?
もう、楽しかったあの頃には戻れないのか?
僕がもっと早く動かなかったから‥‥
僕がもっと早く異変に気が付いていたら‥‥
こうはなっていなかったのかもしれない‥‥
何をしても戻らないのなら‥‥
これが僕の罪だというのなら‥‥
僕はその罪を甘んじて受けよう‥‥
僕の犠牲で彼らが元に戻るのなら‥‥
「‥‥っ!」
一気に流れてきた今までの夢の中で感じた時の感情があふれだす‥‥。
「‥‥伊作‥‥文次、‥‥留‥‥仙蔵、‥‥こへ、長次」
ぼそりと呟いた言葉と共に頬に流れる涙がとても熱く感じた
≪‥‥思い出した?≫
とても悲し気な表情で困ったように微笑む彼‥‥
「‥‥なんで、‥‥ぼくに?」
≪言ったでしょう?‥‥僕は「君自身」でもあるんだ‥‥
いわば一心同体の存在なんだよ‥‥
君はあの時の事件のショックで記憶を失くしてしまっただけ≫
「‥‥どうして、‥‥僕と君はわかれているの?」
≪僕は確かにあの時の事件で「死んだ」‥‥
でも「魂」と「肉体」は二つに分かれて肉体は死んだ
魂である君は生きている‥‥
だから転生という形で生まれ変わったんだ‥‥
三次元で僕と瓜二つの肉体を持つ君の身体に引き寄せられるようにして‥‥
この世界にやってきた‥‥
君は、この世界の人間なんだよ?
だから、もうあの世界には戻れない‥‥≫
「‥‥っ!そ、そんな‥‥
僕は実際にこの世界で生きた記憶何て‥‥ないのに
僕はまた彼らに「殺される」の?」
≪‥‥大丈夫、記憶は時期に戻るよ‥‥
今も戻りかけているんだ‥‥あとは時間が教えてくれる≫
ニコッ)と微笑む少年の身体はすぅと透明になって消えかかっていったのだ!
「待って!僕には無理だよ!君の代わりなんて!!」
≪‥‥僕の代わりじゃない‥‥君は僕自身なんだ‥‥
胸を張ってそれを自信に変えるんだ‥‥
みんなによろしくね‥‥≫
「い、‥‥いゃ‥‥や、やめて!!」
涙が止まらない‥‥あふれ出していく‥‥
誰か‥‥助けて!
この暗闇から‥‥出して!!
「‥‥そ‥‥っ!うま、」
誰かの声が僕の頭の中に響く‥‥
聞いたことのある懐かしい声に‥‥
「蒼真!起きて!!」
い、‥‥さく?
聞き覚えのある声‥‥の人物の名前をつぶやいてると
自分を包み込むように光だすと思わず目をつむった
?「蒼真!」
「‥‥ぃ、‥‥さく?」
ぼやける視界の中で視界いっぱいに入ったのは涙ぐんでいる伊作の姿があった。