※名前変換ありません/実在のお店要素かなりあります。苦手な方は閲覧非推奨 「「監督!!!!俺(オレ)達のバトルフェス会場に長野って本当?!?!」」 自分が外に出る仕事もなく事務所でのんびり書類作成をしていた昼下がり、背後から息の合った大音量ユニゾンを聞かされると思わず前のめりになる。あまりの背後の二人がそうなる理由は理解できたため気持ちを整えるように息を吐いてから振り返った。 「お、早速見たんだね日程表。」 背後の二人――Wの蒼井悠介・享介はキラキラの表情のまま双子らしく、揃ってぶんぶんぶんと首を縦に振った。 「見たっていうか教えて貰ったっていうか〜…あれって誤植とかじゃないんだよね?!」 「あはは、それを聞いたら山村君が泣いちゃうよ?」 「あっ、ご、ごめん…!だってさ、オレ達の地元にコラボとかじゃなくてライブで行けるなんて夢なんじゃないかなって…!」 「悠介ったらはしゃぎすぎ。…でもまあ、俺もとーまくんから連絡貰った時はちょっと信じられなくて二度見しちゃったから気持ちは分かるけど。」 ごめん〜!と今は当人不在で空席な山村君の席に向かって手を合わせる悠介君の隣で、享介君はやれやれと自分の兄のはしゃぎ様に若干苦笑しているものの何処かそわそわしている様子は見てとれた。そういえば今朝事務所にJupiterが来た時に何かはしゃいでる様な会話が聞こえたとは思ったが、成程あれは二人に連絡しようと息巻いていた天ヶ瀬君だったのか。納得した 「それでね監督、俺達バトルフェスに向けてしたいことがあって…!」 「会場のある市内の色々なものを纏めて教えてあげたいんだ!美味しいものとか〜こういうお店があるよ〜とか、そういうの!……どう、かな?」 確かに、今までも地方公演の時はその地域出身のアイドル達が街中の案内を引き受けてくれた事を思えば、地元に凱旋する事になる二人にとっては他のアイドル達に地元を知って楽しんで貰いたいという気持ちが湧いてくるのも理解できた。 「……実はね、私も折角の地方公演だから皆に楽しんで欲しくて軽く調べてはあるんだけども手伝ってくれない?日程的にあまり遠くには行けないと思うから日帰りで楽しめる範囲って条件は付いちゃうけれど…どう?」 こそっと耳打ちするように伝えると、二人は一度瞬きをしてから顔を見合わせると嬉しそうな表情を浮かべて飛び上がった。 「「やるやる!!絶対やる!!」」 「了解、じゃあ早速会議……あ、この後もしかして少し時間がある感じ?」 「「大正解!!」」 「ははーん、それじゃあそのやる気にお応えして打ち合わせスペースに行こうか。」 ビッと親指を立てる二人の肩をそれぞれポンと叩いてから打ち合わせ室の鍵をもって向かおうとすると、何とも楽しそうな雰囲気が後ろから追いかけてくるものだから私は思わずくすりと小さく笑いを零したのであった。 ▼ 「さてと、とりあえず私が今回の参加メンバーに合わせてピックアップしたのはこんな感じなんだけれど…どうかな?」 「どれどれ…?ふむふむ…へぇ、簡単だけどけっこー良い感じじゃん。な、享介。」 「粉もの、お酒、甘いものやしょっぱいものまで…確かにメンバーに合わせて簡単なまとめはできてるって感じだよね、悠介。」 今回行くメンバーに合わせてピックアップした表と、駅ビルのフロアガイドを印刷した物を見比べながらふむふむ頷く二人にお茶を用意しつつ、私はぱんと軽く手を合わせた。 「とはいえそのまとめもネットで調べられる範囲だからね、もし可能であれば長野出身の二人に深堀りをお願いしたいな〜って。」 「オッケー、監督に俺達の本気見せてやるよ!」 「悠介、あんま突っ走るなよ。こういうのはい〜っぱい出せばいいって訳じゃないんだから。」 「分かってるって。でも紹介したいものは沢山あって悩むよな〜。」 と言いながら二人はう〜んと一緒に唸ってからペンを執る。 「なあなあ享介、先ずは駅ビルの中で楽しめるものから書かない?きっと移動は新幹線だし。」 「お、それ名案!ってなると……お土産は当然として、長野の粉物代表のお蕎麦におやき、じろーせんせー達向けのお酒やスイーツなんかも網羅できるかな。駅から善光寺に行く間で楽しめるお店もあるけど、冬の長野は雪があるから駅からすぐ楽しめるのは効率良さそう。」 「お蕎麦は上のレストランエリア、お土産とおやきとお酒と栗スイーツは改札のあるフロアで……っと。この中じゃ七味は絶対外せないよね、なんたって七味唐辛子だけじゃなくてチョコレートやコスメなんかもあるんだから。」 「確かに!自分なりの配分で七味を作れるってとーまくんやあすらん向けかなって思ったけど、ハンドクリームやリップクリームもあるかられいくんやさきちゃんにもお勧めしたいかも!まきおくんはチョコレートとマカロンに惹かれ……案外栗スイーツの喫茶スペースにまっしぐらかも。」 二人の言葉と共にフロアガイドがあっという間にメモで埋まっていく。 地元のお酒を立ち飲みできるエリアや、そのお酒の購入や地元の色々な物を購入できるお店。近くで焼き立てのウインナーを購入することができるそうだ。同じ具材でも店で全然変わるというおやきのお店。お土産屋さんはこんな物があるとか、このお菓子が美味しいよとか、参加メンバーの好みに合わせた書き込みでいっぱいになっていくのを私は自分の仕事をしつつ楽しそうに眺めていた。 「後は駅から出て行ける観光スポットは〜……去年映画の舞台にもなった善光寺と、参道にある全国で数店しかないキャラクターコラボショップとか、ちょっと距離はあるけど川中島古戦場と……あ、松代の真田邸もあるよな。俺としては時期的に渋温泉の温泉とか、地獄谷で猿が温泉に入ってる場所とかもお勧めしたい所だな。」 「なあなあ享介、もう少し近場の情報も載せよ。駅近くのホテルのパフェが美味しいとか、歩いて少しのところの夕方からやってるお店のパフェが美味しいとか、毎日行列ができてるラーメン屋さんとか、善光寺の途中にある抹茶アイスがおいしいお茶屋さんとか、ちょっと穴場なカレー屋さんとか!」 あそこ美味しいんだよな〜と楽し気に書き込んでいく悠介君を見てから、ちょっと心配そうな表情で享介君が此方に耳打ちする。 「……これ段々飲食系マップになってない?大丈夫かな監督。」 「あはは、今回回り切れなくてもプライベートとかで来る時にもきっと使えるだろうし、大丈夫だよ。それに、やっぱ知ってる人の情報って一番信頼できると思わない?」 「それも確かに。……じゃあ折角だし、俺ももう少し書いちゃお。悠介!善光寺表参道エリアの美味しいお店も追加しようぜ!」 「おっイイネイイネ!」 ピックアップに戻った享介君の表情は、先程と違って明るくなっていた。安堵した私の頭の中で九十九さんが全部行こうと言った気がするのはさておき、彼らにしたら地元を知ってもらうまたとない機会だと思うと熱が入ってしまうのだろう。こうしてみると沢山のお店があるのだなと感じながらも、任せた以上最後まで突っ走ってもらうことにした。 12月までまだまだ時間はあるけれど、行先に楽しみがあればきっともっと楽しみが増えるだろう。これからピックアップをやり切った当人達と、それを受け取るアイドル達それぞれが浮かべるであろう表情を思い浮かべながら、私もまたこの先のスケジューリングに気合を入れるのであった。 ((最強の双子アイドルがお勧めするんだから、絶対に楽しんでもらうんだ!)) → |