応接室ソファ

今日は犬と千種は用事があって留守にしている。クロームは笹川京子と三浦ハルと買い物に行くと言っていた。フランはヴァリアーのやかましい人と前髪の長い人に連れ去られて無表情で「あーれー」と言いながら引きずられて行った。
よってここ黒曜センターには私と骸さまのふたりが取り残されている。
朝とも昼ともつかない時間帯に起きた私は千種に用意してもらっていたサンドイッチを頬張りながら、つけっぱなしになっていた何の面白味も感じないテレビを眺めていた。
骸さまもソファに座りテレビを見ている。ま、私の座っているところからは後頭部しか見えないから寝てるのかもしれないけど。
私もどこかに出掛けようかな、なんて考えながら最後の一口を口の中に押し込みそれをオレンジジュースで流し込んでいると「さて、暇なので雲雀恭弥でもからかいに行きますか」と私が食べ終わるのと同時にそんなことを言いながら骸さまがソファから立ち上がった。
くるりと振り向いたその顔はどうしようもなくしょうもないことを考えている顔をしていた。

*

並盛の応接室に来たはいいが当の雲雀恭弥がいない。そりゃそうか。今日は休日で本来ならば学校も休みの筈なのだ。
シンとした室内でぼけっと突っ立っている私達はなんと間抜けなことか。

「仕方ありませんね。今日のところは強請ネタでも探して帰りますか」

本当にこの人は人としてどうなのか。やることがいちいち細かいというか器が小さいというか。なんで私達はこの人についてきてしまったんだろう。がさごそと盗人よろしく引き出しを探っている姿は涙を誘う。

「早くお前も探しなさい」
『はぁい』

とりあえず逆らうのも面倒なのでやる気のない返事を返して探す振りをしてみることにした。

「こちらには何もありませんね。君のほうはどうですか?」
『んー、こっちも無さそうです』

キャビネットの中を覗いていたが、ファイルが几帳面に並んでいるだけで何の面白味もない。
扉を閉めようとして一歩後ずさったところでトンと背後に柔らかい感触が触れた。
なんてことはない。いつの間にか骸さまが後ろに来ていてキャビネットの中を覗いていたのだ。

『何か興味をひかれるようなものでもありますか?』
「そうですねえ…」

ファイルの背表紙の文字をなぞっていた瞳がふとある一点を見つめ目を細めた。そして何故かぎゅと強く掴まれた私の胸。

『…離してください』
「クフフ」
『あと3秒以内に離さないと叫びますよ?』
「それは困りますね」

全然困ってなさそうに骸さまの手はぐにぐにと私の胸を揉みしだいていく。

『ちょっ、骸さま!いい加減に…』

振り返ればゆるりとあまりよろしくない笑みを浮かべてじっとりねっとりとした瞳で私を見つめていた。ぐりぐりと下半身を押しつけてくるのは早急にやめていただきたい。

「君も疲れたでしょう?少し休憩も必要みたいですしね」
『は、はぁああああ?!』

抱えあげられてソファに移動するとぽすっと乱暴に投げられた。荷物か私は。そして上着を脱ぎながら跨がり今度はプチプチと私の制服のボタンを外していく手際のよさに目眩がしてくる。ふざけんな。

『やめてくださいって言ってんでしょうが!』
「先程から嫌だ嫌だと駄々をこねて…。別に君とこういったことをするのは初めてではないんですからいいでしょう?」
『だからって、こんなところで…』
「この間たまには違うところでしてみたいと言っていたのは君じゃないですか」
『そういう意味じゃないってことくらいわかってますよねぇええ?!』
「まあ、たまにはいいじゃないですか」

ね?と首を傾げるしぐさになんて騙されてあげない。



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