手遅れみたいです
深夜のテンションって怖い。
改めて夜特有の独特な興奮状態から醒めた冷静な頭に現実を突きつけられると行き場のない後悔に苛まれるのは仕方のないことだと言えよう。
頬を両手で挟んでみても状況は一転もしないし好転するような雰囲気でもない。
うー、と低く唸りながら更に両手に力をいれていると「ぶさいくですね」と非情なセリフを浴びせられた。
その声の主をじろりと睨みつけると続け様に「あまり寝起きに見たい顔ではありません」とか失礼極まりないことを言い出すもんだから私の猫の額ほどの寛容な堪忍袋も限界をむかえる訳だ。
『…その不細工をお持ち帰りしたのは誰ですか?!』
「勝手についてきたのは君でしょう」
そんなことは………あったりするんだけど。本当に何でこの人について来ちゃったんだ自分。昨日の自分が目の前にいたならひっぱたいてでも止めたのに。
「普段は可愛いげのない君の可愛い顔を見れたと思っていたんですが…」
『か、可愛い?』
「まあ可愛いにも個人差、限度はありますけどね」
こ、この野郎!
誉めたいのか陥れたいのかはっきりしろ!!
「しかし明るい場所で改めて見ると、」
そこで言葉をきってまじまじと見つめられる。うわ、すっごい居たたまれない。顔だけは良いんだから真顔で見んな!
「…明るくなったところで素材の資質には限界があるみたいですね」
『なっ…!』
信じらんない。何言っちゃってんのこの人。そこは多少褒めるとかしてもいいんじゃないの?…って何期待してんだ自分。私は別にこの人に褒められたい訳じゃない。つーかバカにされてるだけなのに。ああもう!あんたの麗しいそのデコに一撃放ってもいいですか?ああん?!
冗談ですよ、と言いながら頬に擦りよってきた柔らかな髪の毛を感じながら鈍い音が辺りに響いた。
「………貴様」
『わ、私は悪くないですよ』
ぎらりと獰猛な瞳に睨みつけられながら地獄の第二ラウンドが幕を開けた。