誕生日

骸さんのお宅にお邪魔するようになって早数ヵ月。そして恋人同士になって数週間。
相変わらず嘘みたいに優しい骸さんは今日も私を出迎えてくれる。

「外は暑かったでしょう?」

玄関のドアを押さえながら、空いた方の手で額に張りついていた髪を指でつまんで整えてくれた。

「冷たいものを用意しますね」
『はい』

静かに閉じられたドアから離れた手が背中にまわされる。男の人にこんなに丁寧に扱われたことなんてないから毎回そわそわしてしまう。
少し落ち着かない気持ちになりながら骸さんを見上げると目が合ってにこりと微笑まれた。

「ケーキもそろそろ食べ頃だと思いますよ」
『…はい』

このケーキというのはバレンタインの時に買っておいたもので、諸事情があり骸さん宅のキッチンの片隅で数ヵ月間放置されていた。
仲直りというか誤解のようなものが解けて晴れてお付き合いすることになったのだが、その騒動ですっかり忘れ去られていたチョコケーキの手作りキットをこの間お邪魔した時に発見した。
幸いなことにまだ賞味期限は切れていなくて、「今度なまえが来る時に作っておきますね」という骸さんのお言葉に甘えることにした。
そして今日がその日なのだが、玄関を開けてもらった時から甘い香りが漂っていて







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