マナー
※裏注意!
夜伽のマナーだかなんだか知らないが充分に解されだらしなく涎を垂らしてひくついている私の中にずぷりと入ってきたそれに圧迫されて眉をしかめる。
あれ、悪魔と合体してはたして私は大丈夫なのだろうか?
すっぽんぽんに身ぐるみを剥がされた後、事務的に「これが前戯です」と指を突っ込まれて内蔵を引きずり出されるんじゃないのかと云うくらい掻き回された。これは初めての人間にはちょっとハード過ぎるような気がする。もっとお手柔らかにお願いしたい。
それよりなによりさっきからずっと気になっていたがまずはあんたのその真顔をなんとかしろ。別人レベルで愛想を振り撒けとかそんなことまでは望んじゃいないがせめて野良猫に撒き散らす愛想の十分の一でもあれば多少なりとも私も恥じらえたのかもしれない。
そんなバッタでも見るような目で見られたんじゃ、私だって………あれ、ちょっと待って。なんで悲しくなってんだ、私。おかしい…。
「声を我慢しなくてもいいんですよ」
声を我慢なんて全然しちゃいないんだけど、落とされた言葉にそう易々と喘げるかと心の中で盛大にツッコミをいれて執事の顔を見上げればぶわりと膜が張る。え、え、あれ…?なんでだ。なんで子どもみたいにボタボタ涙なんて流しているんだ私は。痛いのは痛いんだけど泣くほどのことではない。自分のことなのに自分でもよくわからない、だなんて。それに胸がどうしようもなく苦しい。助けを乞うようにセバスチャンを見ていると、少し目を張って驚いたようだったがすぐに ふっと唇が弧を描く。
目元を優しく拭う指が冷たい筈なのに温かく愛しく感じるだなんて本当に私はおかしい。
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