帝光編


カラフルな世界


私は、私立中学のパンフレットを手に取って、既視感に首を傾げた。
只今、中学受験の準備中。

『帝光中学校…?』
どこだろう…何か酷く引っかかる。

私の両親は、そこを熱心に勧めた。
何でも、取引先のご子息が同学年で、この学校を受験するからだそうだ。

取引先…って、性格が合うかは分からないから、必ずしも友人になれるとは限らないと思うんだけど。
最も両親は、それ以上の関係になって欲しいみたいだけど、まだ中学生にもなってないのに、こればかりは期待されても困る。

私の既視感の理由が分かったのは、受験日当日に学校に行って、カラフルな頭の少年達を目にしてからだった。

赤に緑に青と黄と紫と桃色…

確かにこの世界では、前世と違って日本人には通常有り得ない色の髪の人がちらほら存在する。…けど。
あの、彼等の容姿といったら。

あの…前世で読んだ漫画の世界だ。
…ありえるのか? そんな事が…??

私は動揺したが、受験はそれでもクリアした。
赤色の少年の次席で。
同率一位にならなくて、私はホッとしてた。
元々人前に立つの苦手だから、新入生挨拶なんてやるのはゴメンだし、赤色に目を付けられるのは避けたい。

※※※

入学式では、赤髪の少年が新入生代表として挨拶していた。

でも、少し気になる事が。
何故か、檀上の赤い髪の彼がこちらを見ている様なのだ。

目が合うのは…気のせいだよな?
…だって、私はまだ別に何もしていないもん。
容姿だって、そんなに目立つ程じゃないし。

クラスに行ったら、カラフルな頭は見当たらなかった。…良かった。
少なくともこの一年は、バスケ部にさえ関わらなければ平穏無事に過ごせそうだ。

HRで、先ずは自己紹介を始める。
担任は、順番に名簿を読み上げる。
「…黒子テツヤ」

…ん?黒子…???

「黒子はいないか?」
「…ここにいます」

うおっ!?
私は吃驚して飛び上がりそうになった。
何と隣の席に水色の頭の少年がいた。

よりによって、主人公と同じクラスで隣だったとは!?
…しかもやっぱり影が薄くて気が付けなかったし。

一見した所、黒子君は整った顔立ちをしていて、儚げな印象を持つ。
この子があの激しいスポーツをやるとは信じられない。

ぼーっと見ていたら目が合った。
「…よろしくお願いします」
ぺこりとお辞儀をされた。

私ははっとした。
『あっ、こちらこそ…!』
意外と不躾に凝視していたらしい。いかん、気を付けねばっ!

「苗字!苗字はいないか!?」
今度は私が呼ばれていた。

『はいっ!』
私は慌てて立ち上がって、自己紹介をした。

『黒子君は、何かクラブやるの?』
私は今更分かりきっている事を尋ねてみる。
…勿論知ってたら怪しまれるから、知らぬ振りをするしかない。
「はい、バスケ部に入ろうかと思ってます」
…ですよねー。

「苗字さんは?」
『私は美術部…でも、料理もやりたいな』
「バスケ部のマネージャーとかやりませんか?」
『うーん…』私は考え込んだ。

キセキ…と絡むのも面白いかもしれないな…でも、これがあの漫画と同じなら、不穏な展開になりそうだし…それに、私は運動苦手で体力無いしな…

『自信ないから止めとく。それに私、他にやりたい事あるしね』
「…そうですか。それは残念です」

そう、彼等の事は、遠くから見ているだけにしよう。

結局、私は美術部と料理部に入った。
幸い、両方とも活動曜日が重なってなかったので、活動に支障はない。
両方とも先輩方は良い人達そうで良かった。

そんな穏やかな始まりに、私は満足した。

※※※

実は水面下では、既に不穏な兆しがあるのを、私は知る由も無かった。

…実は苗字名前は、入試問題で、解答欄の位置を一箇所だけ間違えてた。
それさえ無くば、赤司征十郎と同率一位だったと言う事を、赤司は新入生代表の挨拶の打診時に教頭から聞いていた。

それと、取引相手の娘だと言う事も。
「征十郎、先方からも、そのお嬢さんとは宜しくとのご挨拶があった」
「…そうですか。クラスは違いますが、近い内にご挨拶に伺います」


page / index

|



ALICE+