02


カフェの窓際の席で、紗良の隣にカルマが座り、紗良の向かいに学秀が座っている。

「という訳でよろしく、浅野クン。じゃあ勉強始めよっかー」

「勝手に仕切るな、赤羽」

「まぁまぁ……」

カルマは学秀に何度か帰れと言われたが、素直に帰るわけもなく、結局学秀が折れて、3人で勉強を始めることになった。

紗良は頭の良い2人に教わりながら、問題集を解きすすめる。

「……50位以内、入れるかなぁ」

紗良がぽつりとそうこぼすと、学秀は嬉しそうにパッと顔を上げた。

「紗良……! 本校舎に戻ってくる気になったんだね。それならそうと早く言ってくれれば……」

しかし学秀の言葉をカルマが素早く否定する。

「何勘違いしてんの、浅野クン。紗良は本校舎には戻らないから。ね?」

「うん。私、E組を出るつもりはないの……」

紗良は少し申し訳なさそうに学秀にそう告げた。

「じゃあ、50位以内っていうのは……?」

「えっとそれは、殺せんせ……」

殺せんせーに、クラス全員50位以内に入らないと校舎ごと平らにしてE組を去ると言われている、と話しそうになって紗良は慌てて口をつぐんだ。

「うちの担任が、次のテストで50位以内に入れってうるさいんだよ」

カルマがフォローしてくれて、紗良はほっと息をつく。

「なんだ、そんな理由なのか……」

あからさまに肩を落とす学秀を見て、残念だったねーとカルマは笑う。

「紗良も俺も、E組を出る気は無いよ」

「……赤羽、以前君は紗良のE組行きを取り消すように先生を説得して欲しい、と僕に頼んできたじゃないか。あれはどうなったんだ」

紗良のE組行きが決まったとき、カルマと学秀の間でそのようなやりとりがあった事を知らなかった紗良は、不思議そうにまばたきをしてカルマの方を見る。

「そうだったの……?」

カルマは少し決まりの悪そうな表情を浮かべると、ふいと顔を逸らした。

「浅野クンさ、昔の話掘り返さないでくれる? あの時とは状況が変わったんだよ」

「何が変わったっていうんだ。E組にいるより本校舎にいるほうが良いに決まっているだろう」

「だったら、紗良がE組に行くの止めれば良かったのに。結局失敗しちゃったんだから、もう諦めなよ」

「くっ……そもそも赤羽は……!」

「ふ、二人とも、落ち着いて! 勉強、勉強しよう?」

いよいよ喧嘩が始まりそうな雰囲気になってきて、紗良は慌てて二人をなだめた。
そのあとも、紗良が二人の仲裁をしつつ、なんとか無事に勉強会を終えることができた。

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