05


学秀が出て行ってしばらくして、紗良が目を覚ました。

「あ、目覚めた?」

「カルマ君……?」

「おはよう。ぼーっとしてんね。調子はどう?」

(あぁ、そっか。私、保健室で寝てたんだった……)

紗良はゆっくりと上半身を起こす。
少し寝たおかげか、もうすっかり体調は良くなっていた。

「もう、身体は平気みたい。そういえば、学秀君は……?」

寝る前までは居たはずだが、姿が見えなくてきょろきょろと周りを見回す。

「浅野クンならもう出て行ったよ。生徒会の仕事があるとかで」

「そっか……」

「浅野クンと、何話してたの?」

「えっと……い、いろいろ?」

「ふぅん……」

曖昧な返答をしてしまったが、カルマはそれ以上何も聞かなかった。

「あ、そういえば、野球の試合はどうなったの?」

「あぁ、E組が勝ったよ」

「わぁ、勝ったんだ! おめでとう!」

E組が勝ったと聞いて、紗良は嬉しそうな笑顔を浮かべる。

「野球部の悔しがる姿、なかなか見ものだったよ」

「あはは……でもすごいね、ほんとうに野球部に勝てちゃうなんて」

「まぁ、あれを野球って言っていいのか分かんないけどね」

「どういうこと?」

「帰りながら話すよ。紗良の荷物、持ってきてるから」

教室には戻らずに、もうこのまま帰っていいと殺せんせーから言われているらしい。

「歩ける? なんならおぶっていくけど」

「だ、大丈夫だよ!」

「けど、もしまた体調悪くなったりしたら、今度はすぐ言いなよ?」

「分かった。ありがとうカルマ君」

帰りながら、野球部エースのフルスイングを目の前で躱した話などを聞かされて、野球ってなんだっけと思う紗良だった。



球技大会の時間 end

2016.4.18

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