05
「よーしそうだ! そんな感じにプール全体に散らばっとけ!!」
プール脇の岩の上に立って、寺坂は皆に指示を出していた。
皆少々不満な顔をしつつも、指示通りにプールに散らばって対先生用ナイフを手に待機している。
「疑問だね僕は。君に他人を泳がせる器量なんてあるのかい?」
「うるせー竹林! とっとと入れ!!」
なかなかプールに入ろうとしない竹林を、寺坂は容赦なくプールの中に蹴り落とす。
ザバーンと思いっきり水しぶきが上がって、紗良は反射的に目を瞑った。
(だ、大丈夫なのかな、こんな調子で……)
紗良は不安な表情を浮かべて寺坂の様子を見守る。
殺せんせーを水の中に落として皆に刺させる計画らしいが、そう簡単に水の中に落とせるとは思えない。
しかし寺坂は本気で殺せんせーを殺すつもりのようだ。
「ずっとテメーが嫌いだったよ。消えてほしくてしょうがなかった」
「ええ知ってます。暗殺の後でゆっくり2人で話しましょう」
緑のしましまの顔になっている殺せんせーを見て、寺坂は怒りを露わにした。
「ナメやがって……!」
寺坂は、手に持っていたピストルの引き金を引いた。
その瞬間――。
ドガッ!!とものすごい轟音がして、プールの堰が爆破された。
「えっ……きゃあ!?」
プールの水が一気に流れ出していく。
浅瀬に立っていた紗良だったが、急に水の流れが強くなったことでバランスを崩して足をとられ、水中に飲み込まれてしまった。
(何が、起こってるの……!?)
突然の事でパニックになり、紗良思い切り水を飲み込んでしまう。
(息が、出来ないっ……!)
必死にもがくも、流れが強くて思うように泳ぐことができない。
酸素が足りなくて、だんだんと視界がぼやけていく。
コポリと口から溢れた泡を追うように水面に手を伸ばしながら、紗良はゆっくりと意識を手放した。
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