16
洞窟内は暗くて、懐中電灯を持っていても奥までよく見えない。
時折、水滴が落ちてきてそれが水面に当たる音が聞こえてきて、余計に不気味さが増している気がした。
しばらく歩いていくと、三味線のような音が聞こえてきた。
「な、何!?」
音のする方へ振り向くと、着物のようなものを着て三味線をひいている殺せんせーが、青い火の玉とともにボウっと浮かび上がった。
「ここは血塗られた悲劇の洞窟……。琉球……かつての沖縄で戦いに敗れた王族たちが非業の死を遂げた場所です」
「ひ、非業の死……」
「たぶん作り話だよ」
「決して2人離れぬよう、一人になればさまよえる魂にとり殺されます」
「ひぇっ……!」
そう言い残して殺せんせーは消えていった。
さらに進んでいくと、今度はシュッシュッという音が聞こえてくる。
音のする方へ行くと、襖があり、その奥で殺せんせーが包丁を研いでいた。
「血が見たい……同胞を殺されたこの恨み……血を見ねばおさまらぬ……」
「血もしくは……イチャイチャするカップルが見たい……。どっちか見れればワシ満足……」
「イ、イチャイチャ……?」
「見せ物じゃないんだけど」
カルマが対先生弾で攻撃すると、殺せんせーは逃げていった。
さらに先へ進むと、カラフルな丸が描かれたマットが置かれていた。
立て看板には『琉球名物ツイスターゲーム』と書かれている。
「名物……なの?」
「名物じゃないよ」
そして再びどこからともなく殺せんせーが現れた。
「この先へ進みたくば……このゲームをやるのです……」
「怖がらせてくだらねー事たくらんでるみたいだけど……」
カルマは後ろを振り向く。
「あれ? 紗良、あっちの方から何か聞こえない?」
「え? な、何が……?」
カルマは暗闇を指差す。
「『呪ってやる……』って、女の人の声が」
「えっ……!」
紗良は怯えたようにカルマの腕をぎゅっと握る。
「そ、そっちは何も仕掛けてないはずですよ……?」
殺せんせーの声も震えている。
「じゃあ……ほ、本物の幽霊!?」
「そそそ、そんなはずは……!」
暗闇の方を見て怯えている殺せんせーに向かって、カルマはこんにゃくを投げつけた。
こんにゃくは殺せんせーが仕掛けていたものだ。
「にゅやーーーーーッ!?」
ぬるりとしたこんにゃくを体にぶつけられた殺せんせーは、大声で叫びながらどこかへ飛んでいってしまった。
「アハハ! 殺せんせーも紗良並みに怖がりだよね〜。あ、ちなみにさっきの声が聞こえるっていうのは嘘ね」
「な、なんだぁ……。びっくりした……」
紗良はほっと胸を撫で下ろした。
「さて、十分楽しんだし出よっか」
出口はもうすぐのはずだ。
カルマは紗良の手を取り歩き出す。
「はぁ……疲れた……」
「俺は結構楽しんだけどね」
カルマは指を絡め合うように手を繋ぎ直し、ぎゅっと力を入れた。
そして、紗良の方へと顔を近づける。
「カ、カルマ君……?」
「肝試し、怖かった?」
「う、うん……」
紗良がそう答えると、カルマはニコッと笑い、こう言った。
「じゃあ、今度2人でお化け屋敷行こっか」
「!! カルマくんの意地悪……!!」
そんなこんなで、色々な出来事があった南の島の暗殺旅行だったが、良い思い出として皆の記憶に残ったのだった。
島の時間 end
2022.12.25
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