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二学期の中間テストの2週間前のこと。
渚たちがフリーランニングで下校している途中で、通行人に怪我をさせてしまった。

その人は保育施設の園長先生で、怪我が治るまでの間、E組全員で保育施設で働くこととなった。

「みんなー! 園長先生はおケガしちゃってしばらくお仕事できないの。かわりにね、このお兄ちゃんとお姉ちゃん達が何でもしてくれるって!」

子供達がきゃっきゃと寄ってきて、狭間がやれやれと言った表情を浮かべる。

「全く……何で私ら無関係の生徒まで連帯責任かねぇ」

「……面目ねぇ。あとすっげぇ噛みつかれてる」

寺坂の首元に男の子が噛みついていた。とても元気な子供達だ。

「みんなごめんよ〜〜〜」

謝る岡島達に、神崎が「気にしないで」と答えた。

「他人に怪我とか予測できなかった私達も悪いし」

フリーランニングをしていた生徒たちはみんな反省しているようだ。
渚も申し訳なさそうな表情を浮かべている。

「巻き込んじゃってごめんね……」

紗良は渚に大丈夫だよと声をかける。

「こんなこと言っちゃダメかもだけど……実はちょっと楽しみにしてたんだ、保育施設のお手伝い」

そう言って紗良はニコッと笑った。

「楽しみ?」

「うん。保育園の先生って、ちょっと憧れてたから」

紗良は近寄ってきた子供たちの頭をよしよしと優しく撫でる。
そんな紗良の様子を見て、カルマが問いかける。

「紗良って、子供好きなんだ?」

「うん! 小さい子って可愛いよね」

「まあ、やんちゃなのも居るみたいだけどね」

周囲を見ると、竹林が男の子たちにズボンを下ろされていた。
いたずら好きの子供も多いようだ。

「で、何やってくれる訳おたくら? 大挙して押しかけてくれちゃって。減った酸素分の仕事くらいはできるんでしょーねぇ?」

比較的背の高い女の子が腕を組んで不機嫌そうな表情を浮かべてそう言った。

「やべぇ……さくら姐さんがご機嫌斜めだ」

「殺されるぞこの兄さん達。入所5年の最年長者……。学校の支配を拒み続けること実に2年」

「カッコよく言ってるけど不登校だろ要するに!」

そういえばここの園長は、待機児童から不登校児まで片っ端から格安で預かってると言っていた。

「まずは働く根性があんのかどうか、試してやろーじゃないの!」

女の子は箒を持って渚に襲い掛かろうとするも、床が抜けて落ちてしまった。
どうやら建物の老朽化がかなり進んでいるようだ。
職員の人から聞いた話では、お金が無くて修繕も出来ず、職員も満足に雇えていない状態らしい。

「28人で2週間か。……なんか色々出来んじゃね?」

「できるできる」

「よし皆、手分けしてあの人の代役を務めよう。まずは作戦会議だ」

やんちゃな子供達のお世話に、建物の修繕に、なかなか忙しくなりそうだ。

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