01


もうすぐ2年1学期の中間テスト。

その日、紗良は放課後図書室に残って試験勉強をしていた。

椚ヶ丘中学は全国屈指の進学校なだけあって、試験前はみんな勉強に必死だ。
今もこの図書室でたくさんの生徒が残って勉強をしている。

問題集を全て解き終えたところで、紗良はうーんと腕を伸ばして一息ついた。

「はぁ〜疲れた……」

「お疲れさま、紗良ちゃん。勉強進んだ?」

隣の席に座っていた渚が紗良に声をかける。

紗良と渚は小さい頃からの幼なじみだ。
紗良にとって渚は一番仲が良く親友と呼べる存在である。
クラスは違うが、こうしてたまに一緒に試験勉強をしたりしている。

「とりあえず、一通りは解き終えたよ。渚君は?」

「僕は、あんまり進んでないかな……」

渚は苦笑いしてそう言った。

「そっか……。まだ勉強する?」

「僕はもうちょっと頑張ることにするよ。紗良ちゃんはそろそろ帰る?」

図書室の壁にかけられた時計を見ると、もう19時を回っていた。

「うん……時間も時間だし、先に帰らせてもらってもいい? ごめんね」

「大丈夫だよ。気をつけて帰ってね、紗良ちゃん」

「ありがとう。じゃあまたね、勉強頑張って!」

そう言って渚にバイバイと手を振り、紗良は図書室を後にした。





外は日が落ちて薄暗く、雲がかかり雨が降りそうな雰囲気だった。

(早く帰らないと……)

そう思って、紗良は近道である路地裏を通って帰ることにした。
しかし人通りがなく薄暗い路地裏は、なんだか少し気味が悪い。

(やっぱりいつもの大通りから帰ればよかったかな……)

そんな事を考えながら、角を曲がったところで、ドンッと人にぶつかってしまった。

「わっ」

ぶつかった反動で後ろに倒れそうになる紗良の腕を、目の前の人物がつかむ。

「おっ……と。大丈夫?」

「あ、ご、ごめんなさいっ。前をちゃんと見てなく……て……」

ぶつかった相手を見て、紗良は思わず固まってしまった。
自分と同じ学校の制服を着た、赤い髪の人。
この人は。

「赤羽業、くん……」

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