01


日に日に気温が上がり、夏が近づいてきた。
そんなある日のこと。

帰りのHRが終わり紗良が教室を出ると、そこには渚とカルマの姿があった。
どうやら紗良を待っていたらしい。

「渚君に赤羽君! どうしたの?」

紗良は2人の元に駆け寄り、そう問いかけた。

「今からカルマ君と本屋さんに行こうって話してたんだ」

「紗良ちゃんも来るよね? ついでに甘いものでも食べにいこーよ」

前に一緒にクレープを食べに行った日以来、時々3人で学校帰りに出かけるようになった。
いつもなら二つ返事でOKする紗良なのだが、今日はあいにく既に予定が入っていた。

「ごめん、今日は用事があって……」

「えー来れないの?」

「しょうがないよ、カルマ君。紗良ちゃんにも都合があるんだし」

と物分りの良い渚がフォローを入れる。

「つまんないなー」

と少し不満そうにカルマは言った。

「ごめんね? 赤羽君」

「じゃあお詫びに今度いちご煮オレ10本紗良ちゃんの奢りね」

「えぇっ!?」

「冗談だよ。行ってきなよ、用事あるんでしょ?」

「また今度誘うね、紗良ちゃん」

「ありがとう。じゃあね、2人とも!」

そう言って紗良はパタパタと廊下を駆けていった。




紗良はその日、ある人物と勉強をする約束をしていた。
待ち合わせ場所へと向かうと、もう既にその人物は到着していた。

「おまたせ、学秀君。ごめんね遅くなっちゃって…」

「僕も今来たところだから大丈夫だよ。じゃあ行こうか、紗良」

その人物とは、浅野学秀。この椚ヶ丘中学校の理事長の一人息子だ。
紗良は時々、学秀に勉強を教わっている。

「空き教室の使用許可はもう貰ってあるから。あと参考書もいくつか持ってきておいたよ」

「いつもありがとう。私が勉強教えてもらう側なのに全部用意してもらっちゃって…」

紗良が学秀と勉強する時は、いつも空き教室を借りて行う。
生徒たちの羨望の的である学秀と一緒にいると注目を浴びてしまうため、なるべく人目を避けて会うようにしていた。

2人は目的の教室に辿り着き、机に本とノートを広げた。

「じゃあ始めようか。分からない所があったら遠慮なく聞いてくれていいからね」

「うん、ありがとう」

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