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E組での学校生活が始まってしばらくが経った。
殺せんせーの授業は意外にもとても分かりやすく、生徒たちに好評だ。
また、暗殺の方も皆100億円を夢見てなんだかんだ楽しく取り組んでいる。
エンドのE組なんて呼ばれているが、そこまで悪くない学校生活を送っていた。

そして今日は、カルマの停学明けの日。
の、はずなのだが……。

(カルマ君、来ないなあ……)

5時間目の体育の時間、運動場で対先生ナイフを振る訓練をしながら、紗良は未だに姿を見せないカルマの事をぼんやりと考えていた。
やがて授業の終わりを告げるチャイムが校庭に鳴り響き、皆ぞろぞろと旧校舎へと戻っていく。

「烏間先生って、ちょっと怖いけど格好いいよねー」

「ねー! ナイフ当てたらよしよししてくれんのかな〜」

「どーだろー。紗良ちゃんはさ、烏間先生みたいな人ってタイプ?」

「わ、私は……」

女子数人でそんな会話をしていると、紗良の視界の端に赤色の髪が映った。
紗良は足を止めてそちらに視線を向ける。
そこにはイチゴ煮オレを片手にたたずむカルマの姿があった。

「カルマ君……!」

「久しぶり、紗良」

そう言ってカルマはニコッと笑った。
1ヶ月程会ってなかっただけなのに、何だかひどく懐かしく感じた。

「へーえ、あれが例の殺せんせー? すっげ、ほんとにタコみたいだ」

そう言ってカルマは殺せんせーの方へと真っ直ぐ歩いて行く。

「赤羽業君、ですね。初日から遅刻とはいけませんねぇ」

「あはは、生活リズム戻らなくて。下の名前で気安く呼んでよ。とりあえずよろしく、先生」

カルマは右手を差し出した。

「こちらこそ、楽しい1年にして行きましょう」

殺せんせーがその手をとると、パン!と弾けるような音ともに触手がどろりと溶け出した。
カルマは左手に隠し持っていたナイフですかさず追撃を行う。
しかし殺せんせーは素早く飛び退いてそれをかわした。

「……へー、ホントに早いし、ホントに効くんだこのナイフ」

カルマの手には細かく切られた対先生用ナイフが貼り付けられていた。

「そんなとこまで飛び退くなんてビビり過ぎじゃね? 殺せないから殺せんせーって聞いてたけど、あっれェせんせーひょっとして、チョロイひと?」

カルマに挑発された殺せんせーは顔を真っ赤にして怒っている。
殺せんせーにダメージを与えたのは初めてで、クラスの皆が驚いていた。

「カ、カルマ君、すごい……!」

少し離れた所からその様子を見ていた紗良も思わず声をあげる。

「凶器とか騙し討ちとかの基礎なら、カルマ君が群を抜いてるのかもしれないね……」

いつの間にか紗良の側に来ていた渚がそう言った。
この暗殺教室は、カルマにこそふさわしいクラスだろう、そう思った。

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