第12話
それからというもの、私はハウスの皆と一緒に過ごすようになった。
今日は外で遊ぶことになり、皆で鬼ごっこをすることになった。
ノーマンが鬼に選ばれ、他のみんなが一斉に森の中へと散っていく。
しかし、時間が経つにつれて、皆次々とノーマンに捕まっていった。
ノーマンは運動神経が特別優れているわけではなかったが、圧倒的な頭脳と戦略で、確実に皆を追い詰めていく。
「ナマエ、捕まえた」
「……!!」
ノーマンの声が背後から聞こえると同時に、肩をぽんっと軽く叩かれた。
振り向くと、そこには笑顔のノーマンが立っていた。
うまく逃げ切ったつもりだったが、逃げ道は見抜かれていたようで、先回りしていたノーマンに捕まってしまった。
ハウスの方へと戻ると、すでにほとんどが捕まっていた。
あと生き残っているのはエマだけのようだ。
しかし、やがてエマもノーマンに捕まってしまったようで、ノーマンと一緒に戻ってきた。
「また捕まっちゃった〜っ!」
エマは悔しそうに肩を落としながら叫んだ。
「ラスト1人で10分持ちこたえたぞ。新記録じゃないか」
レイがそう言うが、エマは不満げに顔をしかめた。
「くやし〜〜〜! なんで!? なんでノーマンあんなに強いの!?」
エマは勢いよく地面にうつ伏せに倒れると、ジタバタと手足をバタつかせた。
まるで幼い子どもが駄々をこねるようなエマの無邪気な姿に、思わずナマエは笑みをこぼす。
「ふふっ……」
ナマエが笑った瞬間、エマは手足の動きを止めると顔を上げ、じっとナマエを見つめる。
「……ナマエの笑顔、初めて見たかも」
エマの大きな瞳には、驚きと嬉しさが滲んでいる。
「お前、そんな風に笑えたんだな」
レイが少し意外そうに言った。笑ったのなんて、いつぶりだろうか。
「ねぇねぇ! もう1回笑ってみて!」
エマにそうお願いされ、ナマエは少し戸惑う。
「そ、そんな事言われても……」
「ナマエは笑顔のほうが似合ってるよ」
ノーマンが優しく微笑みながら言い、それにエマが大きく頷いて同意する。
「うんうん! 笑ってるナマエ、可愛いよ!」
なんだか恥ずかしくなってきて目を逸らすと、ハウスの皆もナマエの事を優しい目で見つめていることに気づいた。
ナマエは顔が熱くなるのを感じ、思わずレイの本を奪って顔を隠した。
「おい」
読んでいた本を奪われたレイは、少しむっとした表情を浮かべる。
「レイも、ナマエは笑ってたほうが可愛いって思うよね?」
エマがレイに問いかける。
「俺を巻き込むな!」
「素直じゃないなあ、レイは」
そんなやり取りを見て、ハウスのみんなは楽しそうに笑った。
賑やかで楽しい日常が、まるで永遠に続くかのような錯覚を覚えるほど、そこには確かな幸せが満ちていた。
――しかし、現実は非情で残酷だった。
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