監督の従兄が真澄にとある事を強請られる小話。


 談話室でまったりアニメ雑誌を読んでいたら、いつの間にか正面に真澄が居た。
話があるんだけど、と連れ込まれたDKの部屋で冒頭に戻る。
ちなみに、いづみは買い物、綴君はバイトに行っているらしい。

 碓氷真澄は、何故か出会い頭から従妹にぞっこんな男子高生。
耳タコなくらい、好きを言い続けているが、天然で総スルーしている従妹に少し傷心気味だそうだ。

「声優やってるんでしょ。至がアンタがやってるっていう、小さい女の子の声聞かせてきた」
「あんにゃろう……」
「従兄で声質が似てるし、声真似出来るんじゃない? って言ってた」
「それでこの状況なわけですね」

 確かに、声変わりする前はどちらかと言えば少し高めで、親戚には電話でいづみとよく間違えられていた。

「だが断る」
「なんで」
「お兄さん、一応プロなわけよ。そんなホイホイと声真似をやると思われたら終わりですわ」
「これ」

 真澄が制服のポケットから取り出したのは、オレが集めているYOU戯Oh!カードの超レアカではないですか。

「そ、それは……」
「至がくれた」
「流石たるち。オレの事分かってらっしゃる。
 外堀埋められてる感半端ないですね。
 三上かがみ、いづみの声真似させていただきます!」

 コホン。
 真澄が正座で背筋を伸ばし、目を瞑った。とても良い拝聴姿勢である。
オレの声にしか用事無い所がバリバリ真澄らしいね。監督ガチ勢パナイ。

『真澄君* 大しゅきだよ*』
「俺もアンタが大好き」

 ガバッ!
 勢いよくギュンギュンに抱きしめられた。いや、お兄さん嬉しいけど同時に悲しいわ〜〜。

「……硬い」
「でしょうねえ」

「真澄君、これ…………」

 ガチャリ。
 最高のタイミングで咲也君の登場です。
丁度部屋のど真ん中で真澄に抱き着かれているオレの図。

「わわ! 邪魔してごめんなさい!」
「咲也君、大丈夫だから」
「もっかい好きって言って」

 大丈夫じゃない。咲也君のテンパり具合が。
 真澄のナイス発言に、カバンを取り落とし元気よく「ごめんなさい!」とパタパタ廊下を駆けていく。

 待って。
 お兄さん色んな人から怒られる図しか思い浮かばないから。

「ねえ。もっかい」
「はぁ……もうどうにでもな〜れ☆彡」

 春組勢と帰宅したいづみが来るまで、真澄に強請られるまま『大しゅき*』スピーカーとして頑張りました。
そして、しばらく至にネタにされましたとさ。

めでたしめでたし。






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