「写輪眼使わなくても十分思い通り操ってんじゃない。それとも今回は俺も操られてんの?ほんと末恐ろしい子だよね。」
「ひどい言われようですね。使ってないですよ。結果的に上手くいっただけです。」
赤くなった目元で見上げてきたそいつは薄っすらと笑った。
「昔のことは言わないでくれたんですね。」
「言ったら抓る力が倍になったんでしょ?」
「仰る通りで。」
「お前の娘がサスケを泣き落としてたけど、こんなとこから学んでたとはね。」
「そんなことしてたんですか、イチカ。」
「サスケくん、イチカのこと好き?って。好きって言わせて嬉しそうに笑ってたよ。」
「ふふ、母親譲りですね。」
「あんなに操られやすいと心配になるね、お前のサスケくん。」
「さぁ。男は掌で転がすくらいが丁度いいって言いますから。」
飲み足りなかったのか別のお酒を開けながら席についている。
「あんま飲み過ぎるなよ。」
「はーい。カカシさんお茶淹れましょうか?」
「いや、俺ももうちょっと飲むから。」
俺の言葉聞いて嬉しそうに笑い机の上に色々とお酒を並べてくる。意外と酒豪なんだなと大人になった一面を垣間見る。
「そういえば、最後のどっちですか?」
「どっちって?」
「大事にしなさいよって、私?家庭?」
「あの文脈だと、サスケはお前だと取ったんじゃない?」
「内心では?」
「まぁ、両方だね。」
聞いといてむくれないでよ、と言うと、だって、と珍しく拗ねている。
「一応あいつら俺の教え子だからね。まぁ良かったじゃない、相当想ってくれてるみたいで。あんなあいつ見たことなかったよ。」
「…はい。」
何を思い出しているのか口角を上げる。
「カカシさんの一世一代の告白パート2も格好よかったですよ。」
「泣けた?」
「涙が止まりませんでした。」
「それは良かった。」
信じてないですね、本当なのに、と言う声に、はいはい、とテキトーに返事をする。
「私、あの頃、カカシさんがいなかったら、今こうやって笑ってないです。」
「間違いなく病院で餓死してたよね。」
「ふふ、その節はお世話になりました。」
そう言って笑う顔は外面で笑う時とは微かに違っている。器用な癖に相変わらず素直になり切れない其奴は精一杯甘えているらしい。
「いらっしゃい、カカシさん。」
「ん。ありがとう。」
お互い半分ぐらいしか飲み物が入っていないグラスをぶつける。
「…イチカとサスケってちょっと似てません?」
「素直じゃなくて口悪いところ?」
「似てますよね。イチカの彼氏?好きな人?の説明が完全にあの子にとってのサスケと一致してて笑いそうになりました。」
「俺も思ってた。」
やっぱり?と楽しそうに笑う。
「私とカカシさんも、似てますか、ね?」
心配そうに言ってくる姿に苦笑する。
「まぁ、口の上手さと強かさは似てるかもね。」
「ふふ、そうですね。」
そう言っていつものように擽ったそうに笑う。きっとこれからも、自分の事を気にかけてくれる人がいる事に慣れなくて心配で確認して、またこうやって擽ったそうに笑うんだろうなと思う。その横でいい加減慣れなさいよ、と思いながら自分も笑うんだろうなと思った。大事な人が、自分の事を気にかけてくれている人がいるという事に慣れないなんて。そんな不幸癖が抜けないのはこいつと自分だけなんじゃないかと思う。