5








――






『ん……』




目を覚ます。
やけにぼんやりする頭。夢と現実の間をさまよう。

よく眠ったという感覚だけで、目覚ましが鳴った記憶がない。
ふと目に入った窓の外の景色が明るい事に気付いて、慌てて飛び起きた。


今日、学校だ。もしかして寝坊した?
寝坊なんて今までしたことなかったのに。
目覚ましだって滅多にかけ忘れないし、万が一かけ忘れたとしてもお母さんが起こしてくれるのに。




『………グリーン…?』




そういえばグリーンがいない。
昨日も一緒に寝たはずなのに。
いつも私が先に起きて、グリーンを起こしてから部屋を出るのに。

ふと、寝る前にした会話を思い出した。
“もしオレが、ある日突然、いなくなっててもさ”
“オレのこと、忘れないで?”


どくん、と心臓が波打つ。




『……あれ?』




グリーンがいない他に異変に気付いたのはその時だった。


これ、私のベッドじゃない。
少なくとも布団は私のじゃない。
色も触り心地も、私のではない。
触った感触があるのだから、夢ではない。

頭が混乱して部屋を見渡せば、見慣れない景色がそこにあった。
私の部屋でもなければ、お母さんの部屋でもない。
私の家でベッドがあるのはその二つの部屋だけだ。


ここ、どこ?




「よお乃亜!目覚めたか?」


『!』




ドアを開ける音とともに姿を現したのはグリーン。
とりあえずグリーンを見つけられてほっとする。
同時に視界が滲んだのが分かった。




「え、ちょ、乃亜?どうした?」


『……っ』


「な、泣いてるのか?
もしかして朝起きたらオレがいなくてーとかそんな」


『……』


「…ま、まじか?
ごごごごめん乃亜!オレいるから、ちゃんといるから」




無意識に溢れ出す涙、悔しいけどグリーンの言ったことは間違っていない。
酷く焦った様子でこっちに走ってきて抱き締められる。

良かった、グリーン、いた。




「ごめんごめん、ちゃんといるから泣かないで…?
……乃亜かわいすぎるだろ…オレいなくて泣いちゃうとか…」


『うるさい』


「ごめんってば!でもありがとな、すげー嬉しい…。
ちょっと用事で下に行ってたんだ」


『…そういえば、ここどこ?』


「その件なんだけど、」




一旦離れてぽんぽんと頭をなでられる。
袖で涙をふき取ってくれた。



きょろきょろと辺りを見回す私。
次の瞬間、グリーンの口からとんでもないことを聞かされることになる。




「悪ぃ乃亜、乃亜のこと好きすぎて連れてきちまった」


『……はい?』


「ここ、オレの部屋」




『……え?』




状況を理解したとき、



私の新しい物語が、始まる事になった。







10
いるはずのない、大事な君との生活。




(大丈夫、ねえちゃんにはちゃんと言っておいたから)
(いやいや、そういう問題じゃ……)
(これからもずっと一緒だ、乃亜!)
(……いいんだか悪いんだか)




END.


Story is finish.
Thank you for reading!




→あとがき






<<prev  next>>
back