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「乃亜がなんとなく控えめだったのって、本気になるのが怖かったからか」
その日の夜。
今まで一人用のベッドで少し離れて二人で寝ていたけど、もう間に距離なんてない。
そんなもの、必要なくなった。
ベッドに入って照明を消したら、当然であるかのように抱き寄せられた。
『当たり前でしょ、変に表に出して嫌われるのいやだったもん』
「オレとしてはそのせいで逆に嫌われてないか心配だったけどなー」
『私がグリーンのこと嫌いなわけないでしょ』
「そんなのオレには分からなかったってのー」
笑いながらグリーンが話す。
部屋は暗いのに寝る気はあまりしない。
明日も学校なのに、ちゃんと起きられるんだか。
「そーだ、明日から“設定”解除な。
普通に恋人だから」
『……分かってる』
「へへ」
『…そういえばグリーンって、恋人いなかったの?』
「よく言われるけど、いねえぜ?
旅してた頃はレッド追いかけるので一生懸命だったし、その後はジムリーダーで忙しかったし。
オレ、好きになったの乃亜が初めてだし」
『…そ』
なんとなく今更な話題を出す。
見た目で判断するのは良くないけど、勝手にいるのかと思ってた。
でもグリーン、よく考えればまだ14歳なんだよね。
その割には大人すぎるけど。
そろそろ寝なければいけないのはお互い分かっていたので、会話がだんだん少なくなっていく。
それでも寝たくない気持ちはあって、少し喋っては静かになり、を繰り返していた。
いい加減寝ようとしていた頃、
目を瞑ったまま、急に真剣に話しかけられる。
「なあ、乃亜」
『なあに』
「もしオレが、ある日突然、いなくなっててもさ」
『……うん、』
「オレのこと、忘れないで?」
『…当たり前でしょ』
何を言い出すのかと思えば。
少しだけ笑って、でも半分以上は冗談じゃないような、そんな声で。
「オレ、帰ってもきっと乃亜のこと好きだから。
オレのこと、忘れないで」
『………ばか』
そんなの、私も同じなのに。
グリーンがいなくなるなんて、
考えたくなかったから、わざと考えてなかったのに。
『グリーン、きっともう、グリーン以上に好きな人、こっちに現れないよ』
「……、」
『私、グリーン以外に恋人なんて作れないと思うから』
だからお願い、
そんな悲しそうな顔、しないで。
『おやすみ、グリーン』
「……おやすみ乃亜、
ありがとう、愛してる」
『…私も、愛してる』
瞼と唇にキスを貰って、静かに目を閉じた。
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