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『我愛羅…、実はね。』
『?』
『カンクロウには、我愛羅の事で相談に乗ってもらってたんだよ。』
『なっΣ』
激しく勘違いをしていた事を今更知り、カンクロウに詫びる気持ちと恥ずかしさで、顔を手で覆った。
その様子をみて架音も可笑しそうに笑い、我愛羅のすぐ傍に近づいた。
『たぶんね、私をウザイと思ってた頃からずっと我愛羅の事が大好きだったの。』
『架音…。』
『私も、私の隣は我愛羅じゃなきゃ嫌だよ!…っ////』
衝動的に架音を自分の胸に手繰り寄せた。
その腕や腰回りはあまりにか細くて、命を粗末に扱ってきた俺の側にいたら簡単に壊れてしまうのではないかと、不安が過る。
『俺はまだ里の者には良く思われていない。苦労をかけるかもしれないぞ?』
『我愛羅が側にいてくれるなら、全員敵に回してもいいの!』
『しかし…』
『我愛羅知ってる?』
『?』
『我愛羅を想う、それは無敵なんだよ!』
胸元でうずくまっていた顔を上に持ち上げ幸せそうにハニカム架音。
胸が躍動する。
体中が熱くなる。
『おまえは、恥ずかしい言葉を並べすぎだ。』
『へへっ、これが私の素直な気持ちだもん!』
『なら…』
ゆっくりと接近する我愛羅の顔。
次の刹那にはお互いに唇が触れ合っていた。
小さなリップ音立て、唇を離すと熱い吐息がお互いの顔に吹きかかる。
『なら…、俺も無敵だな。』
沢山の修羅場を乗り越えて
多くの命を奪い去って
何かの犠牲の上に立つ俺は一体何者なのかわからなくなって
発狂していた時期だってあった。
それでも
自分を想ってくれる家族がいて
自分を想い慕ってくれるヒトがいて
自分も変わりたいと心底思う。
大切な人達に、もう怖い思いをさせないために。
誰かを守れるくらいの強い力を得るために。
…風影の名に見合う存在になるために。
『我愛羅。』
『ん?』
『大好きだよ!』
『…っ//何度も繰り返さなくて良い!』
甘い言葉をかけられるのに慣れていない俺のツンツン振りに、架音は笑う。
少しだけ幸せそうに見えるのは、俺の思い込みだろうか…?
その後、俺が風影となり、新しい家族が出来るのは、もう少し遠い未来の話。
(fin)
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