密かに片思い。
『はい』
「…はぁ?」
とある日、暁アジトにて。廊下で飛段に出くわすなり、ひとつの箱を差し出す。
大体予想していた通り思いっきりアホ面をされた。
『これ。あげる』
「オレに?」
『他に誰がいるのよ』
「…なんで?」
全てを疑問系で返される。そんなに周りを見渡したところで他に誰もいないし、地面からゼツが生えてくるわけでもないし。第一私はあなたに向かって箱を差し出しているのに。
綺麗に包装されてリボンのかかった小箱、できればそれだけで要件を把握していただきたい。
『今日、あなたの誕生日でしょ』
「…!」
溜息をつきながら答えればポンと手を叩いて、ああそういやそうだっけなんて。
自分の誕生日ぐらい覚えておいて欲しいものである。
「暁じゃ特に祝ったりしねーから忘れてたぜ、ゲハハ!」
『あら…そうなの』
「所詮犯罪者の集まりだかんな。
架音は新入りだから知らなかったか?」
『…うん。最近ふと思ってリーダーに聞きに行ったの。
そしたら鬼鮫さんの誕生日終わった直後で、鬼鮫さんにあげられなかった』
「いーだろ別に。鮫なんかにあげなくても」
『年上の先輩にその言い草はないでしょ…』
一人笑う飛段。10歳年上の先輩に対してそれはどうかと思う。
呆れてみてもゲハハハと特徴的な声で笑い続けるだけ。
「それよりこれ、貰ってもいいんだよな?」
『そのために買ってきたんだけど…』
「さんきゅーな架音!」
ニッと効果音がついたような顔で笑う。5歳も歳上であるはずのその人の無邪気な笑顔に、不覚にも一瞬目をそらした。
じゃあわたしこれから任務だからなんて、待ち伏せしておきながら足早にその場を去る。
ひとまず、誕生日プレゼントを渡すという個人任務はなんとか果たした。
「クク、大変そうだな」
『……うるっさいわねサソリ』
部屋に戻る途中ですれ違ったのは里抜け以前の顔なじみ。
彼を一蹴してから、さて次はどうやって近付こうかと作戦を練り始めた。
密かに片想い。
アタックあるのみ!
(なー架音、お前の誕生日いつだ?)
(え?どうしたの急に)
(いいから教えろ!オレが祝ってやる!)
(……!!)
END.
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飛段は22、鮫は32らしいですね。
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