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「まさか味覚まで子供になってるとは……」




朝ごはん兼お昼ごはんを食べに行った帰り道。
薬の効果切れが怖いので、夕飯は今のうちに買い出しに行くことに決まった。




『三人揃ってあんなに残さないでよ…食べ過ぎで苦しいんだけど…』


「いけると思ったんだがな」


「オレンジジュースがあそこまで美味しく感じるとは…」


『ライとバーボンはもうコーヒー頼むの禁止だからね』




一応見かけは子供を連れてるお姉さんと言ったところだったので、ご飯はそれっぽくファミレスに入った。本当はお金もあるしもう少しリッチに過ごしたかったのだけど、周りに変に思われても嫌だし。
母親の年齢でもないのに顔も似てない子供を三人も連れているから、その時点でちょっと浮いているところはあるが。

困ったことに、ファミレスに入った彼らは前もって注意したにもかかわらずいつものノリでご飯を注文した。そりゃお子様ランチを頼めとは言わないけど、一人1品メインを頼まなくても良かったと思う。案の定胃袋が小さく、三人とも半分ちょっと食べたあたりでギブアップ。
挙句の果てに味覚まで子供に戻っていたらしく、ライとバーボンは頼んだコーヒーが飲めず私のオレンジジュースを横取りして飲む始末。無理して残飯処理したせいでお腹はパンパンだし、あまり得意ではないコーヒーを2杯も飲んだし、散々だ。誰だ、楽しい休暇になりそうだなんて思ったのは。




「この分だと酒も飲めそうにないな…」


「せっかく金があるのに……」


『それ外で言ったら殴るからね』




移動は安全を選んで車で。
この見た目で人様には言えないようなことを平気で口走るから、正直もう三人を連れてあんまり外に出たくないとさえ思った。
あわよくば午後は普段滅多に行けない遊園地とか水族館とか、少しの時間で良いからそういう所にも行ってみたいと思ってたんだけども。




「…アマレット、タバコは?」


『ダメだって言ってんでしょ。飴でも買って舐めてなさい』


「夕飯はステーキなんてどうですか?僕が良い肉を選びますから」


『良いよ。お昼ファミレスだったし』


「俺アマレットの手料理食べたい!」


『私で良ければ』


「やったー!!」




バックミラーから後ろの席に並んで座った三人の姿が見える。
ほんとに、見た目だけならこんなに可愛いのに。




『これから買い物行くけど、くれぐれも子供っぽくね』


「「「はーい」」」




どうか無事に帰宅できますように。
車を走らせながら、一番に思うことはそれだった。




──




『はー、疲れた……』




夕飯と明日の朝ご飯を仕入れて冷蔵庫へ。セーフハウスなだけあって冷蔵庫には何も無く、飲み水や足りない調味料もまとめて買ってきた。

荷物持ちがいないので、買ったものを運ぶのはほぼ全部私。




「ごめんなアマレット、手伝えなくて……」


『いーのいーの』




荷物を運んでいる間、傍でオロオロしていたスコッチが駆け寄ってくる。
中身が変わってないはずだからこの人は元からそういう性格らしい。その愛らしさに思わず頭を撫でると、彼は嬉しそうに跳ねた。




「悪いことばっかじゃねーな!!」


『…こらこら』


「「!」」




ぴょんと胸に飛び込んで来たのでキャッチしてそのまま持ち上げる。
抱っこなんて嫌がられるかと思ったけど、彼は無邪気に笑うと「なんか面白いな!」と辺りを見渡した。




『スコッチが可愛いから何だか眠くなってきちゃったな…』


「なんで俺のせい?…ね、じゃ一緒にお昼寝しよ?」


『食べたばっかで太りそうだね……』


「アマレット細いから平気だって!もし太っても俺が嫁に貰うから!」


『……あー、スコッチってそういう人?』


「…なんのこと?」




「俺は前から狙ってたよ」と悪戯っぽく笑う彼は無邪気なフリしてそっちにも長けているらしい。わざとらしく仕掛けてくるバーボンとは違ったタイプか。

適当にあしらいつつも、眠いのは事実なのでスコッチを抱えたままベッドへ向かった。
その後を不満そうな顔をしたバーボンがつけてくる。




「僕とお喋りはしてくれないんですか?」


『…じゃあごろごろしながらどう?』


「はい!…アマレット、スコッチばっか構っちゃ嫌です」


『はいはい…ライはどうする?』


「お前らといると平和ボケしそうだな……」



右手にスコッチを抱え、左手をバーボンに掴まれた私は顔だけ向けてライを確認する。

乗り気ではなさそうだったが、最終的には彼も黙って着いて来るのだった。