米倉隊1 - 2
その日、米倉隊は静かだった。
絹川がペンを走らせる音と、白塔が本のページを捲る音、足袋がパソコンのキーボードを熱心に打ち込む音ばかりが鳴っている。いつもは隊長である米倉が気を利かせて話題を振ったり、面白いことがあったと意気揚々と話を始めるのだが、今は彼が隊室にいない。
「いや、なん、知らない、ですけど……」
「? 足袋さん? どうかしましたか?」
「あ、はい……すみません、ちょっと……隊で話まとめて、折り返します」
個人主義的ではあるものの隊への帰属意識は低くなく、集まりがあればそれぞれが都合を合わせて全員集合する、というのが米倉隊だ。その日もまた、全員が都合を合わせることができ、定期の情報交換会をしようと話をしていたのだ。
米倉は几帳面ではないにしてもマメな性格をしている。連絡も無しに隊の集まりに遅れるなんてことはそうない。その上、足袋が痺れを切らしてLINEを送ったのに既読もつかない。つまり、少しばかりの異常ではあるのだが、確認を取りようがないので終わりのない暇を持て余している状態であった。
「どうかしました?」
「あー、っと……」
各々が好きに活動している中、隊に備え付けられた固定電話が音を鳴らした。一番近くにいる足袋がそれを即座に取り『はいどうも!米倉隊オペレーター、足袋二胡がお受け致します〜』と軽い調子で受け答えをし、それを聞いた白塔が少しばかり肩を竦める。
すると足袋が段々と口ごもっていき、訝しんだ様子の白塔が声をかけ、電話を切り、今。
「米倉くん、交通事故に遭った……って、電話来たんだけど……何か知ってることある?」
「…………え?」
寝耳に水の報告を受けたというわけだ。