それでも私は生きています

ただでさえ知らない場所へと来てしまったというのに、この始末はないと思う。
どうやら私はこの世界の動物たちから嫌われてしまったらしい。
理由?そんなもの知るわけがない。
この世界に神様と呼ばれるものがあるのなら、こちらから聞きたいくらいだ。

突然この山へと飛ばされたのが約一週間前。
見たことがない生き物を初めて見たのもその時だ。
流石に一週間もここで生活してしまえば、自分が立っているこの地が日本ではない事くらいは理解出来た。
じゃあどこなんだと聞かれればそれは答えられないのだが。
気付けば、ジーッと穴が空きそうなほどの視線を四方八方から向けられていた。
私の行動を監視するかのようにその視線が外れることはなく。
檻に入れられた動物の気分だった。
初めこそ人間なのかと思ったが、草むらや木陰から見え隠れしている獣の影に人間ではないことが判明したのだ。
襲われることも心配し、いち早くその場から逃げ出そうと試みたこともあった。
しかし、私が思い切って走り出そうとする前に、それを察した獣たちが凄まじい雄叫びを上げた。
その鳴き声は、ここから動くな。来るな。と怒りよりも拒絶が含まれているそれだった。
動物というものは、本能で安全かそうじゃないかを見抜けることが出来ると聞く。
それなら私は、彼らから認められない人間になってしまったのだ。

しかし残念ながら、嫌われているという理由で悲観に暮れてしまうほど鬱々しい性格ではない。
私の住んでいたところに帰れるというのなら今すぐにでもそうしたいところだが、どうせこんな展開だし簡単に帰れはしないのだろう。
なら、この理解しがたい世界で貪欲に生きていくのもありかもしれない。


「理不尽に嫌われたんだから、こっちは絶対死んでなんかやーらない!」


それが私のちっぽけな嫌がらせだ。
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