オレンジ色の最後


  一度友人が連れて来てくれたこの場所を気に入ってしまったのは、華やかというよりも、ぎらついているような彼らのショーがすきになってしまったからだ。
 シアタースターレスは繁華街の中にあり、私とは無縁の場所。
 それなのに、ここ数ヶ月毎週のように通っているのには、もうひとつ理由があった。

「了解した。食事は良かったのか」
 綺麗な人だと思った。
 彼の事を少し調べると、簡単にその情報はネットで手に入った。
 海外で活躍している有名人だということ、このスターレスにはリニューアルと同時に居ること。
 こうしてオーダーを取りに来てくれる目の前の彼は、あまりにも遠い人のように思えた。
「少し疲れているように見える。通ってくれるのは嬉しいが、時間を作り休む事も大事だ」
 ここにいる何人が、この人の事を想っているのだろうか。
 きっと誰にでも向けられるこの言葉に、私はいつも一喜一憂してしまう。
「……、すまない。それでは失礼する」
 そして彼が、ここで見つけた宝石を大切にしている事を、私と同じ女の子達は気付いているのだろう。
 私の後ろへと視線を向け、少し和らいだ表情に酷く嫉妬するのはおこがましい事なのだろうか。

(綺麗な子だなあ)
 注文したアプリコットフィズの意味なんて、きっと気にもとめないだろう。
 今日でここも終わりにする、私の最後の悪あがき。

 飲み干したその色は、貴方によく似ていた。

――どうか振り向いてください。