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「じゃあこの値段でお願いしますね」
頭上では2人の大人が楽しそうに話している
そんな笑顔私に向けられたことは無い
ああ、ここで終わったんだなと思った
もしかしたら……だなんて希望は1つもなかった
ただ進みゆく話を耳にしていれば1人の男が声をかけてきた
「その子、わしに譲ってくれんか?」
「いやあ、急に割り込まれるのは困るよ」
さぁ、どいたどいたと感じにあしらい、男は再び話を続け始めた
「100万」
男はそう言った
その言葉に私の隣にいた男は声に顔を向けた
「100万でその子をわしに譲ってくれ」
この事に私も驚きを隠せずにいた
100万?
こんな私にこの人は何を考えているんだ
「本当か?!?!ああ!もちろんだ!!!お前さんにこの子を譲る!!だから……!」
「ちょっと、お客さん困りますよ!こちらで約束してたでしょう?!」
店側の男は突然の出来事についていけていなかった
しかし、大金を目の前にした男には関係ない
躊躇いもなく私をつき出した
そして、私は……
「今日からワシがお前の親だ」
名前は……桑島慈悟郎だ。
安心しろ、わしがお前を守る。お前の味方だ
目の前の男は私に目線を合わせそう話した
その言葉に私は我慢していた涙が溢れた
あぁ、こんな私が生きていていい世界がまだあったんだ
だから、私は……命をかけてこの人に恩返しをしたい。
そう思えた
――――――それから数年の月日がたった頃だ
「こらあ!!!!!なまえ!!!待たんかあ!!」
『ぎゃあああ!もう無理です!!!死にます!このままじゃ!!!!!もう!!』
鬼の形相で追いかけてくるのは親であり師範である桑島さんだ
この数年の間に私は鬼殺隊を目指し、修行をすることに決めた
そう決まったのだが……
『ぐええ、も、無理……です』
地面に這いつくばる私の首元の服を持ち引きずられている
首!首が絞まってます!!!
そう、修行はとてつもなく過酷なものだったのだ
話に聞くと、おじいちゃんは鬼殺隊の中でも選ばれし者しかなれない柱だったようだ
雷の呼吸を扱う者で私にも素質があるということで叩き込まれているのだが……
『雷の呼吸……壱の型―――』
と身構え、技を繰り出すが細い木を切り倒すのがやっとであった
そう、私に向いていなかったのである
どれだけ鍛錬を積んでもそれを超えることが出来なかった
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