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「あぁ、ここで俺は死ぬんだ。うん、間違いなく死ぬ。終わりだ。もう終わりなんだ。結婚も出来ずに死ぬんだ。」
ぶつぶつと横で呟くのは我妻善逸という名の男の子
『大丈夫だから早く行くよ』
呆れた様子で地べたに座り込む彼を無視して歩き出したのはみょうじ なまえという名の女の子だ
あれから私たちは修行を乗り越え、
今日、最終選別に向かっているのだ
そう、向かっているのだが……
「うわああああ、待ってくれよお!!!俺を置いていかないでくれよおお!そうだ!!!なまえちゃん!俺と結婚をしよう!そうしてくれたら頑張れる気がするんだ!!ねえ!!!結婚してくれよお!」
ほって行こうとした私にしがみつき涙に鼻水を垂らしながら必死に話す彼
『何回も言うけど結婚はしないから!!!もう早く行くよ!!!』
このままでは間に合わないと思い、しがみつく彼を引き摺りながら歩いている
少し前までは彼と同じくらいの背丈であったと言うのに何があったのだというくらいに背丈も伸びていた
そして、何が1番驚きなのかと言うと彼の方が1つ年上という事だ
これは鍛錬中のふとした会話の時に知ったことだ
初め聞いた時は驚きが隠せず、彼に「ひどいよおー!」と言われたなあ
と思い出しながら彼の方へ目を向ければバチリと目が合った
太陽の光に当たり、キラキラと反射する髪の毛、透き通るような琥珀色の瞳
何度見てもこの色を私は好きだなと思う。
彼は黙っていればモテると思う。
多分、この性格さえ直せば。うん。
「複雑な音がするのだけど何考えているの?」
と彼は話すので悟られたくなくて無視をして再び引き摺り歩き始めた
目的地である藤襲山に着いた
一面に咲き乱れる藤の花
とても幻想的な世界にいるみたい
周りには私たち含め20人ほどの少年少女たちがいた
この人たちも私たちと同じく試験を受けるのか……
話に聞けば試験は厳しいもので、3人残れば優秀と言われる程のものだと聞いた
そのせいか周りはピリピリとした雰囲気で横にいる彼も
「重たい音がする」だなんて話している
そうしていると目の前に姿を現した2人の女の子
「皆様、今宵は最終選別にお集まり頂き、ありがとうございます」
「この藤襲山には鬼殺隊剣士様方が生け捕りにした鬼が閉じ込められています。」
「この中で7日間生き残る、それが最終選別でございます」
「では行ってらっしゃいませ」
説明と挨拶を終えるとそのまま姿を消した
その言葉を聞き、各々、森の中へと進み始めた
私も行こうと足を進めたが
「待ってよお!!!この中で7日間も生き延びるだなんて無理だ!!!だって閉じ込められているってことは飢餓状態の鬼がたくさんいるってことだろう?!絶対死ぬ!無理だあ!!!お願い!なまえちゃん!俺を守って!!」
相変わらずギャンギャン泣き喚いている彼
普通、男の子なら「僕が守る」とかくらい言って欲しいんだけどなあ
と思いながらも『分かったから行くよ』とだけ言えば
「弱くてごめんねえ!」と言いながら後ろから泣きながらついてきていた
とりあえず鬼が出てこない朝まで持ちこたえることが出来れば……
それまでは彼を守りながらこの一夜を過ごさなければいけない。
どれだけ鬼がいるかも分からない。
鬼が近付いてきたら彼が教えてくれるようにお願いはした。
「不安の音がなまえちゃんからする。俺のせいだよね、ごめんね」
こちらを見て謝る彼はバツの悪そうな顔をしていた
『別にいいよ。こうなることは分かっていたから』
「あ!今ちょっと呆れたでしょ?!仕方ないじゃんかあ!俺は弱いんだから!!」
彼はこう言っているが実際は弱くないはず。
太刀筋を見ればそれは分かる。私なんかよりとても綺麗でブレていない。
もっと自信を持ったらいいのに……。
そう思っていれば早速、彼から「鬼が来る!!!」と言われ、刀を構えていれば姿を現した鬼。
後ろで「ギャー!出た!!!!」と叫ぶ彼は今にも口から魂が抜けそうである
3匹か……
この数なら……
刀を構え、呼吸を整えた
周りの空気が冷えたことを確認し、唱える
『氷の呼吸……弐ノ型―――氷雨刺突』
刀を振り下ろせば上から大量の氷の雨が降り注ぎ、鬼の頸が落ちた
それを確認し、刀を鞘にしまえば、彼は「なまえちゃんの技は本当に綺麗で強いよね。俺もこれだけ強かったらなあ、いいなあ」だなんて話していた
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