「おかえり姉ちゃん!」
「ナルトー、ただいまー」
ドタドタ!と駆け寄りボスン!となまえに抱きついてきた彼ももう10歳。なまえはこの子も大きくなったなぁと目を細めた。ほんっと反抗もなくいい子に育ってくれて嬉しいよ。なまえはナルトの柔らかい髪を撫でる。15歳になったなまえは上忍として任務に就いていた。ウルあらかた任せていたなまえは日々成長していくナルトが可愛くて仕方がなかった。
「今日は一日家にいるってば?」
「うん、久々にゆっくりするよ」
「じゃあ俺も!俺もアカデミー休む!」
「おおう、ナルトそれはダメだ」
胸を張って高らかに宣言するナルトを制止したのはウルだ。恨めしそうに振り返ったナルトに思わず苦笑い。
「サスケも姉ちゃんに会いたがってるってば」
「終わったらここに連れてこればいいだろ?」
「でもぉ!」
「でももだってもない!」
どうやら、日頃ともに過ごしているウルには我儘を言うようだ。お姉ちゃんとして叶えてあげたいが、ウルからのとばっちりを受けるのが目に見えていたため椅子に腰掛け静観する。
ぎゃーぎゃー元気に言い合いながらナルトは元気そうだ。あ、そうそう。この5年の間にナルトとサスケはアカデミーに。イタチは暗部となりました。私はしがない上忍職。持つべきものは火影様々だね。権力嵩にするのうまー。なんてことを考えていると、ナルトが負けたのかアカデミーの準備をしていた。
「姉ちゃん!俺が帰ってくるまで家にいてくれってば!」
「うん、お仕事入ってもナルトのこと待ってるからね」
「や、それは普通に任務行けってばよ…」
なまえとの軽口にナルトはもう一度渋ったがなまえの行ってらっしゃい。に元気よくかけ出して行った。
「ナルトがおよめさんもらったらさみしくなるね…」
「主人の考えが何時も以上に読めないのだが」
「ハハ、たぶんそろそろナルトも初恋を経験するんじゃないかなぁなーんて」
「主人…ナルトももう10歳、我と主人が出会った頃よりも年をとっているんだぞ?」
「あー、時が経つのほんと早いね…ウルがきてもうすぐ10年かぁ…昔はあんなにも可愛かったのに…今では私の事<主人>なんて呼ぶし、口調が固いし、使い魔だからってもっと砕けてもいいのに」
「あれは!まだ、右も左も分からなかっただけです!自分の身をわきまえています!」
ウルの真っ赤な顔になまえはにたりと笑みを浮かべた。いつも通りの笑みとは少し違う、面白そうに笑っていた。
「まあまあそんなの気にしてないで、折角のおやすみなんだから」
<<結界も変わりますのでウルもお休みください>>
「ルーク、いえ、それは我の仕事ですから。」
かたっくるしい任務にばかりついていたせいでなまえはやさぐれていた。ソファにダイブしたなまえは足を組み頬杖をつく。
「あーあ、兄さんたち早く起きてくれないかなぁ」
なまえの予定ではナルトがアカデミーに入る時にはもう起きていると読んでいたのだ。すっかり目測がはずれフガクさんの目が痛くなってきているところだった。
まあ兄さん…4代目の名声を餌にしたわけだし。仕方ないと言えば仕方ないんだけど。
「なまえ?」
でもまあまどろっこしい説明しなくてすんでるわけだから精神的にはまだ無事なんだけど…
「なまえだよね?」
「あ、るじ…!!!ミナトさまが…!」
「へ…?」
ふらり、と壁に肩をつけながら金髪を揺らし碧眼の目を丸くしなまえを映していた。
「にーさ、ん?」
「なまえ」
手を伸ばすミナトになまえは駆け寄り抱きつき、胸元に顔を寄せる。
「なまえ、おっきくなったね」
「にーさ…、」
「今いくつ?」
崩れ落ちたミナトをソファに座らせ飲み物を受け取った彼は落ち着いた様子でなまえに話しかけた。
「15歳です…」
「そっか、そんなに大きくなったんだね。僕と5歳しか変わらないのか。あれ?寝てた間にも年をとってるわけだから、結局は変わってないのかな?」
「兄さん、あんまり老けてるように見えないよ」
「はは、ほんと?うれしいなぁ」
とりとめのない会話が嬉しくてなまえは思わず綻ぶ。
「あ、笑った」
「え…?」
「なまえの笑い方変わらないね」
いいながら頭を撫でられなまえは気恥ずかしい思いで居心地が悪くなる。なんだもしかして、フラグでも立ってたのか!するとウルから念話がはいる。
<<主人か年相応に見えるのは始めてです>>
<<ウル、ご飯抜きにされたくなければ火影様でも呼んできて>>
<<……りょーかいです>>
本当はナルトのために私が作りたかったのだが、話したいことが山ほどあるため彼には退散してもらう。
「…彼はいいの?なまえもお年頃だもんね」
「ウルはそんなんじゃないよ。私の使い魔。私のいない間のナルトのお世話とか兄さんたちの様子見ててもらったんだよ。」
「使い魔…?口寄せ動物みたいなもの?」
「うん。」
「そっか、彼にも随分お世話になったんだね…そうだ!!!ナルトは?!」
ナルトの話題を出したからか伏せていた顔を持ち上げミナトはなまえの顔を凝視した。さりげなく視線をそらし、
「ナルトは今アカデミーに行ってる」
「アカデミー…そっか、なまえが大きくなってるってことはナルトも成長してるよね」
幾分ショックを受けているミナトには悪いがなまえはナルトの成長を心から楽しんでいた。そしてウルとともに鍛えてきたため落ちこぼれなどと呼ばれることもなく、ミナトの妹であるなまえが、弟として育てているため表からはやっかみも受けず心根の優しい少年となったのだ。一楽のラーメンはやはり大好物である。
そんな彼のメモリアルが実は存在していると知ったら兄は喜ぶだろう。あとで教えてあげよう。
「あー、っと、今日は寄り道せずに帰ってくるから、兄さんは今後のこと私と三代目とで話をしよう。」
「そうだった。なまえ、キミは…」
「それは、三代目が来てから…」
「儂ならもうおるぞ」
なまえの台詞を遮り姿を見せたのは猿飛ヒルゼンだった。なまえは目を細め、投げやりに答える。
「お早いお着きで」
「ウルスラグナがせかすのでな。老体に鞭打ってきたわい」
「ウル、ご苦労様」
「いえ、長話になりそうですので、先に食事の支度をしてきます」
「ごめんね」
なまえとウルのやりとりは長年のもので、主従関係が明確に出ておりミナトは複雑な気持ちになった。
「ほんと、成長したね、なまえ…」
その言葉を聞いた彼女は照れ臭そうに笑い、それを見たヒルゼンは驚き、思い直す。彼女も人の感情を持ったひとりの人間なのだと。
「それで、ミナトが目を覚ましたのじゃ。約束通り話をしてくれるんじゃろ?」
「……これから話す内容は全て事実だということを念頭に置いてくださいね。信じる信じないはお二人に任せます。」
「なまえ…」
なまえはゆったりとした口調で話し始める。
私の存在について、話せる内容は全て。魔導師の話や管理局の話、違う世界の話は話せないがそれでも、矛盾が出ないようにひとつずつ説明をして行く。
生まれた時から記憶を持ち、不思議な力を持っていたこと。その力を鍛えるために人知れず努力して、ある日優秀な兄の妹ということで大蛇丸にさらわれたこと。その時に起きた災害は私が起こしたということ。その日から忍として兄やクシナさんに鍛えられ目まぐるしく成長して行ったこと。
まだ小さいということで誰しも情報を目の前で話してくれていたので、簡単にあの日の予測がついたこと。私はクシナさんが無事に出産出来るように手助けするためにあの場にいたこと。そして、あの結果になったこと。
なまえはポツリポツリとひとつずつ話をしていった。事実を掻い摘んで選んで。なまえの話を聞いた彼らはなまえが全てを話していないことをよく理解していた。そして彼女が嘘をついていないことも。
そして、今までのことを話すとミナトは激怒した。
「ひとりでナルトを育ててきた!?三代目!どういうことですか!?」
「う、うぬ…儂も止めたんじゃが…」
「だって、その後どうなるか目に見えていたし…兄さんはナルトに英雄になってもらいたかったのは理解できるけど、そんなの里の人たちには伝わらないってこと。元凶が赤ん坊に封印されて、その子供を殺せば九尾は二度と現れないとわかってて、どうしてだれもナルトを狙わないと思えたの?現にナルトは何度も闇討ちにあってます」
なまえの話に思わず口を噤むふたり。報告しなかった内容もある。何も言えないふたりになまえはさらに続ける。
「初めは私ひとりで育てようって本気で思ってたんですけど、三代目に止められて、私も思い直して、何かいい案はないかと考えてるところに死にかけたウルスラグナ…さっきの彼がいてお願いしたというわけです」
→
零