なまえはもらった休暇を家族とどう過ごそうかと腕を組み悩んでいたのが昨晩。現在はぐっすりと眠り早朝で(うあーやっべー)と慌てながらベッドから這い出た。
ベッドサイドの床に座り込み、そのままもたれかかり、腕を組み考え事をしていたところまでは覚えていたが、どうやらウルがベッドに運んでくれたようだ。
よくできた使い魔である。
ふわりと香った匂いに今日は洋食かと考えながらリビングへと向かう。そこには皿に分けられ、目玉焼きにベーコンに、サラダ、パンといったものが綺麗に4つずつ並べてあった。
「ウル、おはよう」
「おはようございますなまえ」
「ふたりは?」
「まだおやすみ中です」
「ウルもまだ寝てていいのに」
そういえば「御主人様が寝ているのに寝ているなんてなんて駄犬ですか」と肩をすくめる。ハハ、と乾いた笑いをこぼせば「お二人を起こしてきます」と照れ臭そうにそっぽを向いた。
いてらー、と手を振りなまえも顔を洗うかと洗面台に向かった。さっぱりとした気分で戻ると何やらボロついた二人がいた。
「な、なにかあった…?」
「う、ううん気にしないで」
「そう…じゃあご飯食べよ」
なまえ宅はご飯どきは静かに食べると決まっていた。ナルトもそれに習いモグモグと落ち着いて噛んでいる。
手を合わせてご馳走様でした。と唱えてからナルトはうずうずとした様子でなまえが食べ終わるのを待っていた。
なまえが手を合わせたところで「姉ちゃん!」と勢いの良い声で呼びかけられた。
「今日、姉ちゃん休みなんだろ!予定あるってば?」
「ないよー。今日はナルトと兄さんと一緒にいたいなぁ、って思うんだけどナルトは出かける予定ないの?」
「ないってばないってば!久々に姉ちゃんと一緒で俺嬉しい!」
か、わいいこと言ってくれるな…と単純に喜べばウルスラグナは眉間にシワを寄せ唸るように意見した。
「俺と一緒じゃダメだっつのかナルト」
「ウルはいちいちうるせーんだってば…」
「なん、だと…」
私と同様にナルトを可愛がってきたウルには酷くショックを受けた様子だった。
そんな会話にミナトは目を細めて笑っていた。
「兄さん?どうしたの?」
「え?あ、ううん。幸せそうで安心した」
「父ちゃん!姉ちゃんとゆっくりできる日独り占めすんなよな!」
「えええ…ナルト、父さんにもうちょっと優しくしてくれても…」
しょんぼりと肩を落とした様子を隠さず見せるミナトはなんというか、一層幼く見えなまえは一人苦笑した。
「ずっと居なかった父ちゃんより、ずっとそばにいてくれた姉ちゃんとウルのがずっと親だってば」
「ナルト…」
むっすりとしたナルトに感動したような声をあげたのがウル、どん底まで突き落とされたのがミナトだった。不貞腐れたナルトの頭を撫で、なまえは柔らかな口調で叱咤する。
「…こーら、ナルト。」
「姉ちゃん?」
「ナルトを育てたのは私だけどね、その私を愛情持って育ててくれたのがミナトお兄ちゃんなんだよ?ミナトお兄ちゃんが私にいっぱい愛情をくれたから、私もナルトにめいいっぱい大好きを込めたんだよ?」
「………ごめんなさい…」
肩を落としたちらりとミナトを見てナルトは一度目を閉じ頭を下げた。どことなく気恥ずかしそうに照れて見えるのはなまえの気のせいではないだろう。
「いいんだよ、ナルトとなまえを小さいうちに手放したのは俺なんだからね」
「あ、会えて嬉しかったてば…」
「な、ナルト…!!」
感極まったミナトはナルトに抱きつきウルが食器を片すまで離れることはなかった。
「兄さんの必要雑貨を揃えようと思うんだよね。あとフガクさんたちにも会いに行かなきゃ」
「サスケのとこいくのか?」
「サスケくんにも会いに行こうか」
「あいつも喜ぶってば」
やること多いなぁ、と頭をかくなまえはニシシと楽しそうにわらうナルトを見ていい子に育ったなぁと温かい気持ちになる。
「フガクさんのとこいくの?」
「れうん、色々お世話になったからね」
「そうなんだ。お礼しなきゃね」
ウルは、眠っていたミナトはお世話の意味を勘違いしているだろうと口を挟まずに胸の内に留める。いや、もしかしたら彼女の兄だけあって理解しているのかもしれない。弟のようにナルトを可愛がる主人をおもいだしてウルは面の皮厚くそう考える。もちろん、そんな思考もっているとバレたら、ナルトの親という師匠というポジションを気に入っているからなのだが。
久々の非番でのんびりしていたい気もするが、なまえはミナトの必要雑貨を買うため一人で店を回っていた。
あちらこちらで挨拶をしている店主や従業員に挨拶を返し適当に物品をあつめる。
自分にも兄さんにもこだわり無いしとっとと買ってしまおう。なまえは手早く会計を済ませ数店舗に入り込ませてある影分身に出来るだけはやく帰宅するよう伝えてあった。
大通りを過ぎ去りなまえは後ろでに声をかけられた。というよりも、腕をかっさわれ路地裏に引っ張られた。
「ぁああああ!なまえちゃん!」
「………カカシさん…」
なまえはチラリと長身のカカシを見上げすぐさま視線を胸元に落とした。
そんななまえを気にした様子もなく彼女の両肩を掴み勢い良く話しはじめる
「先生が生きてるって本当!?帰って来たって!?今なまえちゃんの家にいるの、俺も行っていい、いいよね、任務押し付けたんだもんね、それ位の権利あるよね、俺の先生なんだし俺だって会う権利あるよね!というか俺なまえちゃんの家教えられてないんだけどどこにあるの今までノラリクラリ交わして今日朝から探し回ったんだよ!」
ノンブレスで話すカカシに目をパシパシと瞬く。
この人がこんなに焦ってるの初めて見た。
特に意味もなくなまえはそう思う。
それだけ彼も心配していたってことか。
肩を揺さぶられ意識を戻せば目の前に真剣な片目がうつる。
「……」
言葉を出そうとして口を開くがなんと言っていいものか、ただ息を吸い込んだだけだった。
「なまえ…?」
そんな私に気が付いたのかカカシは眉を寄せ訝しんだ。それ幸いとなまえはさっとさらに視線を下げる。
バク、バクとはやる鼓動を抑えニ.三度息を吸い込んで吐き出した。背中につたる汗を感じながら久々に覚悟なしに合わさった瞳は胸の奥を燻す。気持ち悪い、吐きそう。嫌悪感ではないそれに私は泣きそうなる。
「あ、ごめ…」
パッと離したカカシから一歩下がり距離をとる。
「や、あの、なまえちゃん?」
「……、任務、替わってくれてありがと…カカシさんが帰ってから話すから、それまでは、ごめん」
ちょっとダメージが強すぎて話す余裕ない
ひさびさにここまで動揺した。なまえは震える手を握りしめ絞り出すように言う。
「ゴメン、なまえちゃん、ゴメン、そんなつもりは無かったんだ…!」
「だ、いじょうぶ。や、ほんと、分かってるから…故意じゃないって、カカシさん兄さんのことで必死なだけだったし、なんにも悪くない」
なまえはそれだけ言うと俯かせた顔を持ち上げ、へらりと笑う。
「これから、任務だけど早めに終わらせるから、話聞かせてくれる?」
「…ん、無理して怪我しないでね」
「任せなさい」
お願いしますいってらっしゃい。
姿が見えなくなったカカシの背になまえは小さな声で呟いた。
ゴメンカカシさん。こればっかりは治らないみたいだ。震える手のうちにとどまった魔力をなまえは拡散させる。危ない、危うく本気で攻撃するところだった。なまえは嘆く。この性格いつになったら治るんだろう、と。
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零