翌日の夕方、ミナトとなまえはうちはフガク、イタチと向き合っていた。

交渉術というまでもなく、なまえはルークの機能サーモグラフィーで相手の冷感や温感を分析することができる。まあ本日はそんなことは必要ないのだが。

「なまえ、そろそろ始めようか。」
「…うん。ウル、結界は万全?」
「はい。滞りなく」

ありがと。と礼を告げなまえは一枚の紙を持ち淡々と話し出した。何が書かれているか?もちろん、今回の要点をまとめた用紙である。まとめたものを持たなければ順序良く話せないからだ。支離滅裂になり意味がわからないことになるのが経験的に目に見えてるからね。アドリブきかないので。

「結論から述べると、今回のこの集まりは『うちはの一族を表に出す』ということ。

木の葉の警備とは名ばかりに木ノ葉に恨みを持っており、10年まえのあの日…木ノ葉が襲われている際彼ら一族はなんの手立ても立てず傍観に徹していました。

それも、そのはず。
彼らは、あらかじめ知っていたのですから。

そして、数年後、土台からグチャグチャとなった木ノ葉の里へクーデターを起こそうと目論んでいた。

……言い方は悪いですが、そうですよね、フガクさん。」

なまえがつらつらと今までの経緯をサラリと述べるとミナトは釈然としない顔をした。
フガクに話を向けると目を閉じて聞いていた彼は小さく頷いた。

「フガクさん、それは…」
「裏切り行為ととってもらって構わない。」
「……なんてことを…」

「まあ、この際なんで、理由もハッキリ述べて腹を割って話し合いましょう。」
「………そうだな……。うちはが木の葉に長年不満、恨みがあるのは四代目も承知のことだろう。しかしその波に波紋を出したのがうちはマダラと……「ダンゾウです」…奴も一枚噛んでいてな。ダンゾウの目的はわからないがうちはマダラの存在でうちははかつての勢いを取り戻すと意気込みはじめてな。それが始まりだった。それをチラつかせたのがダンゾウだった」

なまえが促すとフガクは話し出し、目を伏せる。そしてここからが、大事なところだ。

「本当だったらこの後の舞台に立っているはずのなかった兄さんと、フガクさんにお願いしたいことがあるの。」

「え?」
「ナルトと、サスケを鍛えてあげてください」
「子供達を…?」
「私も空いてる時間に基本や頻度の高い術や対策を教えてはいるけど、それでも、あの子達の潜在能力と待ち受ける木の葉の里の危機に立ち向かえる若い世代や背中を任せられる後任者が必要なんです。」

「なまえ、いや、それについてもまあ問いたいが、そうじゃなくて」

ミナトの言葉に首を傾げると、フガクが口を開いた。

「なまえ。お前の言う舞台に立っているはずがない。とはどういう意味だ?」

眉間にしわを寄せ怪訝そうに腕を組むフガクへなまえは自身の失言に気がついた。ちらりとイタチの方を向くと心得たとばかりにイタチが背筋を正す。

「それについてはオレが説明します。」
「イタチ…」

イタチの説明はこうだ。
シスイがダンゾウにより片目を奪われ、もう片方の目をもらい受けたこと。暗部の仕事……上層部より''うちは抹殺”を命じられたということ。命じられたものの、家族を皆殺しにするのに覚悟が弱くなまえに見抜かれ、フガクと掛け合ったこと。

「まぁ、イタチのすることです。フガクさんも抵抗することなく、悠然と亡骸となりそうですが。」

だけど、となまえは続ける。

「……忍術という力を持ってしまったら難しいことかもしれない。でも…どんな過去があろうと、復讐に囚われず前を向いて生きていてほしい。疲れたら立ち止まって振り帰ってほしい。隣や後ろに必ず心を許した誰かがいるから。だって、そのための家族じゃないですか。」

「なまえ…」

なまえの言葉にイタチは自身がしでかそうとしていたことの後悔で手を握りしめた。大事な大事な弟に俺は復讐させようとしていた。

「それに、あの子達も物事の分別がつく年齢になりました。親として、師匠としてあの子達を育ててあげてください。里の脅威が無くなったわけじゃない。だから自衛の手段として、彼らが悲しい結末にならないために。力が及ばなくて悔やまないときのために。」

私の代わりに、あの子達が笑って過ごせる世界を作ってあげてください
なまえはゆっくりと頭を下げた。

「なまえのお願い、聞いてあげたいのは山々なんだけどね。」

続いたミナトの言葉になまえはズキリ胸が軋んだ。

「なまえの言ってることの意味がよくわからないんだ。」


嗚呼人生とは何故こうも無情なのか。