ミナトは自分の妹が何を強く望んでいるのかが理解できなかった。なぜならばそれはミナトにとって当たり前でこれから自身で望んでやるべきことであるからだ。

そんなつもりで「意味がよくわからない」と告げたがなまえはショックを受け悲しげに顔を伏せた。

あぁ、そんな悲しい顔しないでオレのお姫様。大事な大事な俺の家族。その顔を曇らせたいわけじゃないんだ。

「そう…だよね、私の説明じゃ下手すぎて…そもそも兄さんは起きたばかりだからやる事だって多いのに…」

伏せたまま震える唇でそんな言葉を紡ぐ。

「なまえ。違うよ、ちゃんと話を聞いて。そんなことなまえがお願いするまでもないってこと。今まで誰も頼れないくらい中、1人で頑張ってきた妹がするお願いが自分の息子のことだなんて。そこは当然大前提に決まってるだろう」

ぱちりと大きな瞳を瞬かせた妹は泣き出しそうにその表情を歪めた。今キミは何を考えたんだろうか。

「なまえ、キミの代わりにナルト達が笑って過ごせる世界をってどういうこと」

イタチもフガクも顰めた顔をなまえにむけていた。
この言葉の真意次第では簡単に返事は出せない。

「……クシナさんを世話しながら、少し本腰を入れて自分の研究をしたいと思っています。」
「自分の…?」
「研究内容は聞いてもいいのか?」
「私自身の研究です。」

ミナトはその言葉に少し違和感を覚えた。嘘は言っていないのだろうが、本当のことを言っているようで真意を隠したそんな違和感だった。

「不思議な力を持っているのは知っている、今度はお前も含めて狙われるんだな?」
「…うん。」
「つまり、それを調べに行くんだろう…?」

自分の違和感を彼も感じとったのか、今度はイタチが念を押す様に確認を重ねていく。同様にフガクも額を抑えた。

「…そんなにわかりやすい…?」
「なまえ、オレは生まれた時から人見知りなキミを世話してきた兄だぞ。」

「つまりなまえの願いは調べ物の時間をくれってことか」
「はい…」
「周りくどいな。」

フガクの言葉にミナトは人のこと言えないだろうにと内心苦笑したが、そこはグッと堪えて妹に声をかけた。

「いいよ。」

その声は幾分穏やかに聞こえたのだろう。しおしおと萎れていたなまえは背を伸ばしてオレをみた。そんな彼女にもう一度頷いて見せた。


「いいよ。ただし、定期的な連絡と顔見せは必ずすること。健康に気をつけること。危ないと思ったらきちんと引くこと。何かあったら必ず報告すること。できる?」

うちは親子がそっと口元を押さえて顔を背けたのがわかる。過保護なのは重々自覚しているほっといてくれ。そんな気持ちを隠しつつ最愛の妹をみればポロポロと涙をこぼしていた

それにギョッとし思わず立ち上がって駆け寄って涙を拭う。

「どうしたのなまえっ?」

声を上げずに首を横に振る彼女はオレの胸に額を押し付けて小さく言葉を紡いでいく。

「……で、できる…兄さんに、ナルトに会いにいく。会いたい、から、話したいから…兄さんもまた無茶して寝たきりになったり死んだりしたら許さないんだから…!」
「…!!」

その言葉になまえのあ一端が見えた気がした。彼女は全てを抱え込んで今までひたすら1人で奔走していたのだ。

「ごめん、オレも気をつけるから。」

頷くだけで答えたなまえは鼻を鳴らしながら顔を上げたがしがみついた手は離れなかった。

ポーンと掛け時計の音が響いて、ウルスラグナが扉を叩いた。

「お食事の準備ができました」

そこからは仕事の話も無しに、子供たちの会話を軸に食事となった。いつもなら食事中は静かにと声をかけるなまえも、今日ばかりは何も言わずにナルトとサスケが父親たちと嬉しそうに話す姿を映しながら、やっと訪れた幸せを噛み締めた。