なのはとの死闘を終え、母親から攻撃を受け、気を失っていた金髪の女の子…フェイトの話を聞かされなまえはルークを握りしめた。


「なまえさん…」
「私には全く理解できないけどさ、母親のためだけに頑張るなんて。でも、私よりも年下の子が体張って精一杯努力している姿見て、何もしないなんて…そんな人でいたくないんだよね。」

少しだけ眉を寄せクロノをみる。そしてリンディへまっすぐと視線を向ける。

「力不足かもしれませんが、私も行かせて下さい。」

「キミの実力を把握してい無い今、民間人をこれ以上巻き込むわけには行かない」

なまえの言葉を聞いてすかさずクロノが言葉をかざす。管理局としてもジュエルシードを封印したという実績だけでは連れて行くには心許ないのが本音だ。それに、彼女にも伝えた通り、自分たちは彼女の実力を把握していない。最低限の情報もなく危険なところへ連れて行くことはできない。

「手伝いは必要無いってこと、ですかね。それなら私は自分で向かいます。」

グローブから杖を引き出しそれを振るう。多少の魔力は温存しておきたかったけれど仕方ない。転移魔法を展開しなまえはなのはとは別行動になるが一人で向かおうと決意する。

「待ちなさい。」

リンディの静かな声色になまえは魔力を込めながら首をかしげる。ここで止めるということは、ひきとめる為もしくは、同行が許されたとき。

「こんな緊急時にごめんなさいね。みょうじなまえさん。あなたさっき年下の女の子が頑張ってるのに…そんな感じの台詞を言ったわよね?」
「まぁ、だいぶ省略したら、そんな感じですかね…」

キリッとしたリンディの言葉に少しだけ気が抜けつつなまえは頷く。

「それなら私からしてみたらあなただって…年下のまだ可愛い小学生と呼ばれる年代の女の子だわ。その理屈は当てはまらない。」
「…止めるんですか?」
「当たり前です。あなたは民間人。なのはさんみたいに魔力が多いのは認めるわ。ただ認められる理由も、それだけの実績もないの。」
「なら、私はあなた達と協力という体制をとりません。私だって自分の命は確かに大切です。せっかくの自分の時間だし、家に帰ってゆっくりしていたいです。」
「なら…」
「でも、私はワガママだから。自分の時間くらい自分の思い通りならないと癇癪を起こす子供なんで、話聞く必要性を感じません。そして、この会話は彼女たちを先に行かせる為の誘導と判断しました。」

なまえが奥を見れば転移陣に乗り込むユーノとなのはが心配そうにこちらを見ていた。なまえはエイミィが特定したデータを元に構築した魔法陣を発動しながら、目を閉じ「それに、」と続けた。

「それに、彼女は私の後輩だから。手を貸してあげたいんです。」
「なまえさ…ん…、」

なのはを見て笑ったなまえに散々無視してきといて虫がいい話だ。と胸の奥で笑う。

次に目を開いたときにはすでに居住内。
魔導傭兵たちのゴチャゴチャした塊の目の前に転移してしまい、なまえは苦笑いを浮かべる。

「こんなところで魔力を消費するつもりはないよ」

なまえは背後から聞こえた声に首をかしげ振り返る。10メートルほど後ろにクロノ、なのは、ユーノが見える。

「スティンガースナイプ!」

敵を一つの魔力弾で撃ち抜くクロノの魔法になまえははあ、すごいなぁ。ルークにマスターっと呼ばれるまでその光景にぽかんと魅入っていた。

「なまえさん!」
「あ、えっと、なのは。」
「はいっ!一緒にフェイトちゃん助けましょう!」

彼女はデバイスを握りしめ眩しい笑顔をなまえへと向ける。
彼女の、縛られた運命を救うためなまえも笑った。

「なのは、なまえさん!ほのぼのしてないで!」
「ユーノくん!」
「早く行くよ!」
「うん!」

地面が埋もれるほどの大量な機械魔導兵を退け道を開き、そのまま空を蹴り上げ飛ぶ彼らになまえは不謹慎と思いながらも口角をあげた。

おもしろい!おもしろい!すごい!背中を預けられるなんて初めてだ!

杖を一回転させなまえも飛び上がる。どうやら魔力が使えなくなるエリアがあるため気をつけろとクロノが注意を促す。冷や汗を流すなのは、なまえは頷くに止める。