魔法少女になったきっかけはどうであれ現在はむやみやたらと手探りで進んで手に入れたこの日常に疲れが出たとき、お付き合いしていたクロノ・ハラオウン提督が顔を真赤に染め上げプロポーズをしてくれた。思わず私も顔に熱が篭るのがわかった。わ、わ、わ、頭が働かない。何か言わないといけないのはわかっていても口の中が乾いて酸素と二酸化炭素が行き来するだけだ。

 そうこうしているとクロノくんがポケットから小さな箱を取り出し「これ、受け取ってくれないか?」と恐る恐る、それでもしっかりと目をみて伝えてくれた。開かれたその手にはエンゲージリング。クロノくんがくれたアクセサリーはこれが初めてである。まさか、それが婚約指輪だとは思いもよらなかったが。

 なんていうか、もう、限界である。涙目である。心臓はバクバクと煩いし羞恥で顔は赤い、さらに手は震えて来ている。そんなに考えてる暇あるなら実はお前余裕なんじゃね?と、悪魔が囁くが否。頭で否定してこんなこと頭の隅で思っていても態度に前面に出ている自信がある。何故って、それほどに彼が好きなんだよ。

 私の性格を4年も前から理解している彼はジッと私が次に移す行動を待っていてくれている。ああああ、もう、そんなところも好きだ大好きだ。震える手で恐々と受け取り両手で包み込むと思わず座り込んでしまった。うわ、うわ、腰抜けた!もうやだ、恥ずかしい死にたい死んでもいい。そんな思いでボロボロと零れる涙にクロノくんは片膝をついてしゃがみ頭を撫でてくれた。


 クロノくんクロノくん、すきだいすき結婚してください

 感極まってそのままの勢いでがばっと抱きついて言ってしまう。頭で理解する前に口に出してしまった言葉を脳が捉えるとそのままの彼の肩口に顔を埋める。

 たぶん、言われ慣れてないクロノくんも顔を真っ赤にしているだろう。簡単に予想がついてみたいと思う間もなく自分の羞恥に負けた。


 そんな17歳のある日


 私を呼びに来たなのはに見られるまで同じ体制をしていたわけだが、
「なんていうかもう、幸せすぎて死んでもいいなんて初めて思ったかもしれない。」
そんなことを真面目に呟いたらなのはから
「縁起でもないこと言わないでください!」と怒られた。

 ごめん、結構本気だった。未だにバクバクとなり続ける心臓を宥めながら必死に酸素を取り込む。教導官としての仕事はまあやりがいがありすぎて泣きたくなるが仕方が無い。この可愛い後輩も今年の嘱託魔導師を機に管理局に入る事が決定しているわけだが、まあそれでも私もこの仕事を続けているんだろうなぁなんて別の事をのんびり考えていた。

「あ、それと、訓練終わったらさっきの話教えてくださいね!」

 興味津々、にっこりと可愛いらしい笑顔で言われ思わずイエスと答えてしまった。しかも優等生、自分の訓練、私の仕事の後でとキッチリ公私を分けているあたりとても有能である。

 これは見習わなければ、と気合いを入れ直し訓練場へ向い90分2コマの教導官のお仕事を終えた。執務室に向かいながらああ、これで後は書類纏めるだけだなと作業を思い返し眉間にシワを寄せたところで手首と肩を掴まれた。

 うん?と振り返ればもはや見慣れたメンツがわあ、とてもいい笑顔。ああ、そういえばと3時間半前の事を思い返した。


「なまえさん、クロノくんと何かあったんですか?」

「兄さんがなまえ泣かせたって本当?」

「へ?ふたりどうかしたん?」

 どうやら会話の内容までは聞かれていなかったようだ。なるほど。さて、どう答えようか、と頭を巡らせとりあえず場所を変えよう、という話におちついた。
 流石に管理局の廊下でいう話ではないていうか恥ずかしすぎて生きた心地がしない。

 各自仕事を終わらせたらなのはとフェイトの部屋に集合ということでなんとか落ち着いた。いまもポケットに入っている小さな箱を撫でへらりと、顔を緩め書類を片付けるかーと腕を頭上にあげ伸びをした。

 まあ、その後質問ぜめにあったのは言わずもがなである。
ーーーーーーーーーーーーーー
個人的にはこれ位コミュ障だと動かしやすい
脳内でぐるぐる考えるけど結論はつかない感じ。とりあえずクロノくんとラブラブってことと主人公sとの先輩後輩な関係が美味しい