5歳、兄とクシナから盛大にお祝いされてなまえは照れながらはにかんだ。

ふたりが時間を作ってくれるだけでありがたいのに、毎年毎年本数の増えるケーキにご馳走となまえが好きな食べ物とクラッカー。テーブルに並ぶそれらに目頭が熱くなった。実際意味もなく若返ったり、赤ん坊からやり直したりと実際の年齢は数えたくないなぁなんて思い始めていた頃でもあったが、これはこれでとんでもなく嬉しい。もちろんこれは余談である。

そしてこの日は、私だけが知ってるナルトの生まれる3日前。クシナのお腹は触ればパンパンでナルトの胎動が感じられる。

むぐむぐ、と頬張りながら食べていたら、ミナトとクシナは私をよそに会話をし始めていた。
なまえは口を出さずに目の前に有る食事を食べることに専念しながら、頭の中ではこれからの段取りについてめまぐるしく思い描いていた。


大前提にここまで、忍者について色々教わって調べてきたけれど、私の実力が"彼"に通用するのか。負けるつもりはもちろんないけれど、同時に九尾を相手にしながらとなるとやはり難しいものがある。九尾に勝てるの、かな?無力化するにしても膨大なオーラやチャクラ、魔力を消費しなければならない。

全力をふり絞った結果
それでこのふたりは助かる?
勝算は…?

せめてもうひとり、なのはやフェイト、それかはやてといったS級オーバーの魔導師がいてくれたなら話は別なんだけれど。超一級古代遺産(ロストロギア)を一部隊で確保・破壊する並に死力が必要だ、

よくユーノから聞かされた話だと[AAA級魔導師が真剣勝負すると簡単に街一個なくなるから絶対に外で喧嘩するなー]って喧嘩しないよなんて笑い返したのが懐かしい。サポート無しで全力全開にほっといたら島一つ国の一つや二つ三つなくなるような相手と戦うんだもんねーひどいひどい。

操られている九尾さんにはあんまりオイタはして欲しくないんだけれど。
里が半壊するのも嫌だし理性ないんなら気絶でもさせられたらいいのだが、それやるには大きな封時結界張らなきゃいけないしあれあんまり得意じゃないし大きすぎると一人じゃ長時間持たないんだけどだけど。もきゅもきゅごくん。でもなぁ、使おうと思ってる魔法、発動まで時間かかるんだよなぁ。



「なまえ、なまえ」
「聞いてる?なまえ」

うーん、結界張れる忍者頼るかー?
イタチに聞いてみるかなー。と言ったところでミナトの顔がドアップになる。

「…!?!?」
「ん、なまえ聞いて無かったでしょ」
「ごめ、んなさい」
「私たちこそ話し込んでごめんね、なまえ、私明日のお昼からちょっとミナトと出かけるからお留守番してるんだよ?」

「はーい」

ビワばーちゃんと話でもするのかな。兄さんがうろたえなきゃいいのだけど。切り分けてもらったケーキにかぶりついてもきゅもきゅと食べる。ああ、うまうま。