ナルトが、"彼"に渡って目を細める。
ミナトがナルトのおくるみに仕込まれた起爆札を見つけ飛雷神の術で消えたあと、なまえは影分身を残しクシナの元に飛ぶ。


「クシナさんに触るな」
発動された結界により阻まれた画面の男は現れた少女に一瞬の間を開けた。

「おまえは…」
「なまえ!?逃げなさい!」
「クシナさん、」

クシナの叫び声に体が強張る。いつものようにへらりと笑って振り返る。

「心配しないで、クシナさん。そこから動いちゃダメだよ」

「なまえ…なに言って…」

「邪魔だ、小娘(ガキ)」

容赦無く放たれたクナイに片手を前に突き出し防ぐ。起爆札が貼られていたクナイに煙が立ち背後から狙う相手にへらりと笑って見せる。ドカン、ドカン!と仮面の男に当たりそのまま壁に激突するのを見て魔法陣を展開する。

「避けなきゃ痛いよ?」

「おまえは、、なんだ?」

その目の奥で探っているであろう私の"術"について仮面の男はそう問うた。

「クシナ!え、なまえ!?」

タイミングがいいのか悪いのかミナトがクシナの元に現れるちょ、まって、流石にそれは!

「ごめん兄さん!クシナさんに結界貼ってる!早くここから離れて!」

「なにいってるんだ!」

「いいから!早くしないと封印解けちゃう!

クシナさん、出産直後で悪いんだけど、私が結界といたら兄さんと一緒に安全なところまで飛んで!」


彼女にはラウンドガーダー・エクステンドつまり防御、肉体、魔力を回復する魔法をかけていた。彼女に魔力はないけれど、私のチャクラを混ぜたからこれで回復しているはずだ。

「なまえ!後できっちり話を聞くからね!!」

ギリっと歯ぎしりしたミナトは大きな声を上げクシナを連れて行った。こーれは、ちょっと不味いんじゃないかな。

「そうか、四代目の妹か」

「しょうしんしょーめい血も繋がってるよ」

「で?さっきから使ってるその術はなんだ?血継限界か?」

「んー、教えるとおもう?」

へらりと笑えばふん、気に入らないな。と仮面の男はいった。

「しかたないよ、私の大切な物に手を出そうとするんだから」

とん、と魔法陣を杖で触れる。一気に拘束される彼を見るも抜け出されてしまう。なまえを一瞥した後壁に手を当てて消えようチャクラを込めたのが伝わった。

「……」
「逃がすわけないじゃないか」
「……….いいのか?俺の分身がアイツらを襲ってるぞ」
「うん、私の分身も向こうで待機してるよ」
「チッ俺は急いでるんだよ」

だって時間稼ぎしてますから。素知らぬ顔で杖を構える。

「悪いけど、ここから出せないよ」

「クソガキが」

「聞き分けなよオッサン逮捕しちゃうぞ」

カートリッジが3発ロードされる。うちはマダラの幻術に関しては瞳術であることは知っている。けれど目を合わせないこと、に全神経を使わなければならないわけではない。いつも通り。変わらない。

構築した魔法を解き放つ。

「氷の世界(ニフルヘイム)!」

猛吹雪が視界を遮り指定した空間を凍結させるAAAランクの魔法をロードして短縮し発動させる。地下が凍ったのを確認しレストリクトロックを仕掛けその場を後にする。

「くっそー案外時間かかったなぁ」

あのマダラがあの程度でくたばるとは思えないけれど、今は2人が心配だ。

影分身のところまで瞬身の術を使う。
と腕にはナルトの姿が。じゃあ二人は?と円を行い探る。影分身が指差した方をみるとミナトは戦っていた。

封印は!?

クシナさんは!?

影分身が着いてこいと腕を引く。
そこには影分身が貼ったのであろう封時結界があった。けれど、彼女の封印はもう解けかけていた。

「ルーク!私の封印魔法でアレ、封印できる!?」
<…理論上では、可能でしょうか>
「一か八かでやるよ!」
<マスター!失敗したら解き放たれます!>
「今のままでも解き放たれる!」

苦しそうに耐えるクシナを見てなまえは苦々しく思う。空間の信号をずらして認識を誤認させている結界だ、抑えるなんてできない!隠と陽のチャクラを分けて封印?やってやろうじゃないか!

そう杖を構えて結界の中に踏み込んだ時地面から奴が出てきた。

「!」
<ライジングシューター!>
「ショット!」
ドドドドと激しく鳴る音を聞きながら<アクセルシューター!>魔力球を幾つも浮かばせ気配を探る。「シュート!」


(連れて逃げて!はやく!)

影分身が抱えて逃げようと翻した時土煙の中からヌッと出てきた仮面の男に捕まった。

「その好きに…ちょ、え、マジかよ」

クシナとナルトを転移させようと魔法陣を組めば現れ始めたチャクラの塊にたりと冷や汗が出る。


ああもう!とやけになり念能力を発動させる。偽りの刃(フェイクナイフ)を発動させる。なまえの体よりも数倍巨大なハサミとしててできたそれはまさに求めていた形。

「ナイス!」

ジャキン、と九尾の隠のチャクラだけを切り落とし素早くクシナに封印し直す。

「沈黙の鎮魂(サイレントレクイエム)」
<シーリング>
念能力であるこれは強制絶つまりチャクラを含ませて九尾の荒ぶりを抑え込む。そこですかさずルークが封印する。半分くらいのチャクラだろうか残ったチャクラはマダラに操られ里の方へ向かって行くのだろう。

「はあ、クシナさん、またちょっとだけここにいてね」
寝ているクシナを横目になまえは結界を張り直す。今度は襲われないようにドーム型ではなく円型の結界を張る。

結局こうなるんだなあもう!

盛大に舌打ちをして飛行魔法で空を飛ぶ。
里中が混乱の渦に飲まれていた。しかしミナトを、彼を先に行かせておいたおかけで三代目火影に伝わっていることが幸いだ。もう前戦で体を張っている。

「兄さん!」
「なまえ!無事だったんだね!」
「そんなことよりも!九尾をどうにかしなきゃ里が危ない!」
「分かってる。なまえ、あとどれくらいチャクラ残ってる?」
「まだ平気!なくなっても練る!」

ミナトの質問に間髪入れずに答えていき三代目火影が足止めしてる間になんとか封印したい。

「クシナとナルトは?」
「クシナさんは私の結界の中、ナルトは私の分身がついてる」

そういうとミナトはホッと胸をなで下ろした。


「兄さんあれ、足止めできる?」

「封印の術式はあるよ」

それ、命に関わるでしょ。だめだよ。私の目標は二人ともが生きることなんだから。思わず黙り込み杖をミナトの頭に振り下ろす。

「いったあ!?何なまえ!?反抗期!?」
「その封印絶対使っちゃダメ!今あの九尾陽のチャクラしかないから、もっと別の術式ない?」
「!それ、ほんと?」

ミナトの言葉に頷く。なまえはそのまま続ける。

「兄さん、ナルトにあのチャクラをいれよう。」
「な、なにいって!」
「別に私でもいいんだけど、決まりなんでしょ?代々火影の家系に封印を施すのは。」
「なまえ…それをどこで…」
「ごめんね、後で全部話すよ。私が九尾をおびき寄せるから、兄さんお願いだから、ナルトのためにも、クシナさんのためにも、里のためにも、自分の命を犠牲にする術式だけはやめてね」
「…、わかった、ナルトは?」


目配せをすればそこに現れるナルトと私の分身。影分身の私にミナトは飛雷神の術式が書かれたクナイを渡す。

「なまえはもってるよね?」
「うん。」
「よし、じゃあ準備しておくから、なまえ、くれぐれも死なないでくれよ」

改めて言うミナトにへらりと笑返す。

「まかせてよ兄さん」