「じいちゃん!」
「なまえ!?どうしてここに!はよ逃げんか!」
「大丈夫!私も戦える、私が九尾をおびき寄せるから!」
「なっ何を馬鹿な事を言っておる!」
「兄さん…四代目も認めてくれた!私がおびき寄せるからじいちゃんたちはここから離れて!大きいのやるから!」
「なっ…」

絶句するヒルゼンと暗部、上忍達になまえはいつもどおりに笑う。

「だーいじょーぶ、なまえさんに任せて!」
「なまえ!」
「1分以内にここから離れて!里の人を守って三代目!」

普段の彼女との違いに、促された内容に唖然とする彼らを一瞥し印を組む。目の前の大きな図体をした狐様に立ち向かうべく近くまで飛ぶ。

「まーた、会ったね仮面のおにーさん」
「また、お前か」
「九尾のすぐそばにいるなんて、そんなところにいていいの?撃墜させちゃうよ?」

にしてもそんなに簡単に抜けれるバインドじゃないはずなんだけどな。と杖を構える。氷の世界まで直撃くらってピンピンしてるもんなぁ。

「こんなガキに里の存命を託すなんて木の葉も地に落ちたな。」
「やだなぁ、こんなガキにこれからやられる死に損ないのくせに」
「ふん、言ってろ」

九尾から勢いよく放たれる尾獣玉を右へ左へ交わしていると仮面の男が嘲笑する。

「いいのか?里が滅びるぞ?」
「え?うんそうだねぇたいへんだなぁ」
「…貴様、里がどうなってもいいのか?」

その言葉にへらりと笑えば仮面の男は鼻で笑った。

「とんでもない餓鬼だな」
「なんとでもいえばいいさ」

<アイスランサー>

カートリッジを4発分ロードしグローブが光る。その音とともに数多の氷の槍が姿を現す。その数きっちり150。私のアイスランサーの最大出力だ。あたりがざわめくのが聞こえる。

「これ、貴方に効くかな?」
「ふん、やってみたらいいだろう?」
「シュート!」

杖を振り下ろし叫ぶ。このアイスランサーは目標設定したものに追尾機能がある。私が設定したのはもちろんマダラと九尾の両方である。逃がしてたまるか!

案の定攻撃はマダラの体をすり抜ける。
時空間忍術。とても厄介だ。
ミナトはそのとき、影分身のなまえとナルトと、クシナの元にいた。

三代目直轄の暗部をやり過ごし、最高機密の結界を潜り抜け、出産時に九尾の封印が弱まる事を知っていた…。
…さらには九尾の封印を解き、手懐け、そして木ノ葉の結界に引っかかる事なく出入りできる忍…。オレの知るかぎりでは…一人しかいない。

ミナトは術式を書きながら、思い浮かんだ人物にまさか、と手が止まった。今戦ってるのは自分の妹だ。自分よりも時空間忍術に長けてる人物うちはマダラに対抗する手段なんて少女には持ち合わせてない。

悪寒が走る。妹の安否が気にかかる。けれど自分は里長。歯を食いしばって術式を完成させるべく書き進める。

「あとできっちり説明してもらうからね!」

なまえ…!





「はあ、はあ、」

なまえの息は切れて肩で息呼吸を繰り返していた。

「吸い込もうと思ったんだがな、だめか。」
「当たり前ですよ、私は1人じゃないんで」
「何?だが、黄色の閃光の妹なだけある。速いな」
「はは、おしゃべりなんて余裕ですね」

なまえが杖を振り上げた瞬間一気に間合いを詰めるマダラにルークがアクセルフィンを展開する。なまえが大きな魔法を組み上げてる時のデバイスによる判断だ。

「やーと発動できるよ」

へらりと笑う。

影分身を用意しシフトチェンジして魔力を集める。他の魔法と同時進行に組み上げてチャージするのは時間かかるなぁ。取り替えたカートリッジを全ロードする。さらにカートリッジを付け直す。ちなみに弾は7発だ。
ガチャンガチャンガチャン!とカートリッジシステムをロードする音が鳴り響き薬莢がカランカランと落ちるのを横目にルークを構える。

<エターナルバスター!>

いくよ、集束魔法のバリエーション!
「シュート!」

森の方にミナトがいる。先に九尾を封印しよとマダラから距離を取り振り下ろす。

しっかりと魔法陣の上に踏ん張り集束砲を発射させる。水色の魔力光は勢いに乗り九尾とマダラを襲う。

「ぐ、」


ぐぎゃあああ、と鳴く九尾にすまんね、と眉を下げ、威力と魔力に物を言わせる一撃必殺。さらにカートリッジロードを3回行う。シャーリーに頼みに頼んみこんでフルロード以上の威力に耐えられるようにするのにルークと私がお願いしにいき頭を下げまくったのがなんとも懐かしい。

ふへ、と笑い里にいた九尾を森にまで吹っ飛ばす。

「にーさん!」
なまえの元に飛んでくるミナト。ミナトはマダラの幻術を解除するため契約封印を行うつもりだった。衣装が破れたマダラが時空間忍術で姿を消す。瞬間ミナトは契約を解除に飛んだ。なんとか致命傷は免れた様子だが左腕から左肩あたりを負傷し血がどろどろと流れマダラは離脱し間合いをとるが、

(飛雷神の術!! そうか…!!オレの体のどこかにマーキングを!!)

「く!俺と九尾を引き離したか!」

喉から絞り上げるように出された声は飛雷身の術の使用者である、ミナトに向けられたものだった。マダラは幾つもの火遁を纏わせミナトに向ける。

「これで九尾はお前のものではなくなった!」
ミナトの解印と同時に九尾は、写輪眼による制御を解かれ自分の意思を取り戻したはずだ。だが破壊の限りを尽くすことをやめることはなかった。いまにも起き上がり大きく咆哮し、尾獣玉を飛ばしている。その尾っぽをバインドしてみるがもって数分といったところだろう。マダラが再び契約するために九尾の頭上に現れた。

「邪魔するなんて野暮だな、もう!」
「ふざけるな!この時、この瞬間をどれほど俺が待ち望んだと思ってる!」
「知らないよそんなの!いい加減死に損ないは大人しくしときなよ!」
「このクソガキ!」

杖とクナイをギリギリと交差させる。
切れる息を隠しきれずにいれば、マダラは仮面の下でニヤリと口端をあげた。

「随分疲れているようだな」
「ふは、そーでもないよ」

へらりと笑い練を行う。バリアジャケットにオーラの守備力の高い鉄壁な防御だ。
荒い息にやっぱりこの体に足りないのは体力と持久力だなと内心ごちる。

<アイスソーサー>
杖とクナイの間から発射されたそれにマダラは後退し火遁を使うがタイミングが遅れたことで足や腕に幾つかの抉ったような傷を作る。このときなまえは魔力を念で覆うことで殺傷性をあげていた。

「ぐ、」
<プロテクション>

飛んでくる炎をはじき飛ばしサークル魔法をかける。

「ちょっとそこにいてくださいよ」
「これは…」

サークルタイプの結界に閉じ込められたマダラは印を組んだ。兄さんが印を組み始めたのに気がつき兄の元にもどる。


「なまえ、」
「兄さん、早く九尾を」
「わかってる」

[八卦封印!]