使い魔である彼に教え込んだこんだことは幾つかあるが、重要なのは結界魔法だ。
封時結界を常時展開するには私一人ではどうにもならない。ということで、前から言っていた方法のひとつ、使い魔であるウルにやってもらいましょー!ということで、教えたら飲み込みの早いこと早いこと。やはり狼系の種族は補助魔法に秀でている。デバイス無しでも組める彼に思わずチートかと突っ込んでしまったが、それはなまえだろう。と顔を合わさずに言われて無言で肩を落とした。
そんなこんなで、私も無事アカデミーに通うことが出来たわけだが、ああ、ナルトの世話もお願いしてある。アカデミー帰りに食材買って帰ることで影分身も必要ないしなんかだいぶ楽になった気がする。相変わらず魔力も余裕あるし、とても助かっている。
隠し部屋以外にも結界を張り出したのはなんだかんだ、現状に不満を持っているからなのだろうか。私がアカデミーに行き出すと謎の空き巣が何度も何度も侵入を試みていた。その度に動物形態のウルに追い払われていたが。
三代目火影に動物形態で紹介したら諦めたようにため息をつかれた。ちなみに、後日人間形態も紹介したらとても怒られた。
そしてこの緩やかに過ぎる日々にあくびを漏らす。真面目に聞いてはいるが、すでに兄やクシナさんから教わった事ばかりだった。弟以外には無表情がデフォとなった隣の人物に目を向ければ真面目にノートをとっていた。もうとっくの昔に理解してるくせによくやるな。と感心する。
友達百人できるかな。ウルに言われた言葉を思い出してパキリ、と折れた鉛筆が転がる。
いけないいけない。物は大切にしなきゃね。手の中に残った方も机に転がし、刺さる視線に気づかないふりをした。
「なまえ、」
「じゅー、授業中ですぞいーくん。」
「当たってるぞ」
なまえは目を瞬く。教師は腕を組みこちらを見上げていた。あーあ、と思いその場に立てば黒板に書いてある問いを見る。
「波風ー、ちゃんと聞いとけー!」
「あー、はい。」
答えを口にすればそう返す教師に緩いなーと笑う。スパルタは私たちくらいなのかな、とぼんやりと思ったが、よくよく考えたらまだ私は5歳だった。そりゃそうだわ。泣きわめいたら大変だもんね。そして今度の飛び級で私たち…私とイタチは一気に4学年上がることが決定しているつまり順調に行けば7歳で卒業だ。カカシさんにまた頭叩かれる。と何気無く頭をさすっていたら隣に笑われた。
微妙な気分になり手をおろして窓をから外を見る。復興も順調だしふたりは寝てるけどなんだかんだうまく行ったんじゃないかなー。家は結構な改造しちゃったけど怒らないで欲しいな。そんなことを考えているうちに授業は終わりを迎えた。
「イタチくん!一緒に帰らない?」
「なーに抜け駆けしてるのよ!私と途中まで帰らない?」
「あんたこそなにいってんのよ!あんたなんかと一緒にイタチくんが帰るわけないでしょ?!」
早々と帰宅の準備をして立ち上がったところで女子の荒波に巻き込まれる。5歳児クラスで何をそんなに色気付いてるんだ。と思わず引きつった口元を手で隠す。勿論、相手にはバレバレである。
「悪い。なまえと帰るから…」
「えー、またぁ?」
「いくら幼馴染でもイタチくんなまえちゃんに構いすぎだよぉ〜」
「なまえちゃん話しかけても会話進まないし一緒に居てもつまんないでしょー?」
さ、最近の子はとても怖い。ませ過ぎではないだろうか。びっくりして固まった表情になまえは回れ右をし、その場を静かに立ち去る。
「か、会話進まない…」
思いのほかでかいダメージをうけたなまえは涙ぐましくルークに必死になって語りかけていた。
<<そ、そんなに会話進んでない?>>
<<どれだけ長い年を過ぎても思考は相変わらず純粋ですね>>
<<褒めてる?>>
<<まったく>>
<<え?>>
<<いえ、長所だと思ってますよ>>
ルークにまで突き放された、思わず目元を覆って涙を耐える仕草をした。そのとき片手に温もりを感じた。
「……イタチくんじゃないですかー」
「泣いてるかと思った」
「泣きたくなりましたよいろんな意味で」
「ごめん…」
イタチのせいじゃないんだけどね。見る限りしょんぼりと謝罪を口にする彼に訂正する気も起きず、荷物持ちに付き合ってくれるという彼に甘えて私は夕飯と明日朝と昼の食事の材料を購入するために奔走するのであった。
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零