「『ねえどうして逃げるの?あ、そうか、追いかけ欲しいんだね?』『でもほら一応僕的には君に危ないところに近寄ってほしくないから出来るだけ安全なところでじっとしていてほしいからそこのところわかって欲しいっていうか、いい加減僕と一緒になろうよ』」

 ええええ出会い頭に腕を取られたと思えば一人で話し出したかと思えば何やら不穏な雰囲気の球磨川先輩に思わず顔がひきつった。

「球磨川先輩…?」

「『ん?』『なんだい?やっとその気になってくれた?』」

「いや、今のところそんな予定ないですけど」

「『えー?うーん、みょうじさんも強情だなぁいくら異常(アブノーマル)でも…や、なんでもないよ』『それよりもそっち向かわない方がいいよ』」

 なんだよ一体。異常って言われるのは不愉快だ。私は十一組だし異常って言われるのは不本意だ。はぁ、と息を吐き、すぐにでも払えるであろう腕を一瞥しもう片方の腕で頭を掻く

「先輩なんで私を守るとか仰ってくれるんですか?私自分の身くらいは自分で守れます」

「『だって好きだから』」

「…」

 なに言ってるのこないだも言ったじゃないか。ケロリと良い放った球磨川先輩にドッと疲労が零れた。

「『キミのこと人吉先生よりもめだかちゃんよりも、安心院さんよりも愛してるよ』」

 ぞくり、身の毛のよだつ感覚に全身が震えた。過負荷(マイナス)に見つかった隠れ異常(アブノーマル)とは全く皮肉なものだ。

「好きな女の子の前で過去の女性の名前を出すなんて言語道断。建前がなくても同じ事が言えるようになったら考えてみますよ」


 応、と答えるかはわからないけれども。