最近の若い子はよくわからない。 思わず頭を抱えてしまったが、まあ、理解できる日が来るのじゃないかと軽い考えで頭を振る。

片付け終えた私たちはそのまま倉庫へと向かった。気まずくなるかと思ったがそんなことはなかった。ううん、最近の若い子はアグレッシブだな。というよりもこの子、舞園さんも着々と攻略してるんだよな、あと霧切さん。満遍なく回っているていうか、さすが主人公だな、と思う。いや、でも私を回らず、大和田くんやセレスさんを回ってくれ。あとは桑田君とか。なんだろう。これはもしかしたら私が見張れというものなんだろうか。話を聞けというものなのか。

ちょっと今更感あるけど、大手振るって動くつもりは今の所ないんだけどな、絶望シスターズの姉にはとても興味あるけれど。

適当に見繕ってジャージを部屋着と寝間着にしたらいいかな?と段ボールに詰める。あとは気に入った服があればいいんだけど。

4着ほど見繕ってそれをダンボールに押し込む。バリアジャケットじゃ流石に目立ちすぎるもんね。大きめのカーディガンを2枚入れて下着も入れたら後はもういいかな、あ、シーツの替えとかもここにあるんだ。

「んー、もういいかな」
「終わった?」
「あ、うん。またせちゃったかなゴメンね」
「大丈夫、大丈夫。じゃあ行こうか」
「う、うん?苗木くん荷物は?いいの?」

手ぶらなんですけど、と私が言うよりも前にひょいと手の中にあるダンボールを取られる。は?と思わず声に出すと「先に行っちゃうよー」と歩み始めていた。いやちょ、はい!?
「苗木くん、荷物もしかしてもう運んだ後だったりした?」

「え、荷物ならここにあるよ」

「そうじゃなくて、」
「ご、ごめんね冗談だよ。」

そうでなければ私にはもう苗木の思考についていけなくなるところだよ。どちらかというと私は特攻アタッカーというよりは参謀ポジションだが、微塵にもその片鱗が見せれていない。これは実力云々でいえば結果オーライなのだろうか。なんだかよくわからない。

「みょうじさんが、気に入ったところ、ボクなりに伸ばして行こうと思うんだ。」

「いつか幸運のツボとかいって変なの買わされそうだよね苗木くん。それか、借金を知らないうちに肩代わりしてそう。」

思わず真剣な顔で放った。それほどこのお人好しの病い酷いぞ。
彼は「えええ!?」と大袈裟に驚いていた。いい人すぎて死期早めそうだよ。

「そ、そうじゃなくて、みょうじさんに、好かれるように頑張りたい、な、と」

別に嫌ってるつもりなんかないけど。というほぼ本音な鈍感発言は置いておくとして、なんだなんだ。私は彼にここまで好かれるようなことをしたのか。石橋は叩いてすすむべきだと直感で悟る。

「じゃあ別に苗木くんいつも通りでいいや。」
「へ…?」

吊り橋理論の対象になるのは私ではない。苗木は自分がどこにでもいる普通の高校生だと言っていた。私を自分と同じと考えているのだろう。私が自己紹介したのをそっくり信じているのだろうか。ちなみにあんな自己紹介は嘘八百だ。

「好かれるよう努力した苗木くんと一緒にいても疲れちゃうだろうしお互い。」

へらりと笑って言えば 彼は目を丸くし表情を崩した。くしゃり、と崩した彼は困ったように笑った。

「なら見栄くらい張らせてよ」

「…しょうがないなー、ここは苗木の男を見せるところだからね、しゃきしゃき運びなよー」

「はは、りょーかい」

苦笑いする苗木に笑い返して個室まで運んでもらうことになったダンボール。苗木が「予想より少なくて驚いたよ」と言うので「ああ女の子は準備に時間かかるし買い物好きだから多いイメージがあるのかな」と返す。

「いや、朝日奈さんなんて3往復くらいしてたから。」
「え、あ、あー」

そう、なんだ。と笑そうになるが、想像はつくわな。と一人うなずく。部屋まで運んでもらい、礼をいい別れようと扉に手を掛けたところで、夕方一緒に過ごさないかと提案された。「ううん、ごめんね。今日は朝日奈ちゃんと大神さんとで大浴場へ行く予定なんだ。」もう一度ごめんね。と告げると苗木はそうなんだ。じゃあまた夕飯の時にでも。と手を振って別れた。

いや、別に用事なくても断っていたとおもうんだけどね。深々とため息をつき肩の力を抜く。

振り返るとそこにはモノクマがいた。

「みょうじサン青春してますね〜ッ」

うぷぷと笑いながら言われ米髪に手を当てる。次から次へと…。そう思わずにはいられない来訪者だった。

「学園長さん、鍵の意味ご存知ですか」

「モチロンだよッ!ところでみょうじサン苗木クンと仲良くなったみたいだけどコミ障治ったの?ねぇねぇ治ったの?エッ?やっだなー!単純に好奇心だよォだってみょうじサン人と極力関わりたくなさそうだったんだもんボクも心配してたんだよォ??」

私の問いをサラリと流し自分の言いたい事をつらつらとうぷぷと笑いながら 述べるモノクマに、ああこういうの懐かしいなぁとにこりと笑う。もちろん愛想笑いである。なぜ知ってる。その事をオクビにも出さずに。

「やだなぁ、モノクマさん、私の何を知ってるって言うんですか」

目を見ることは苦手だが、相手は見た目ぬいぐるみである。流石にぬいぐるみと目が合わせられないほどの重傷ではない。

ただ、私が何気無く言った言葉はおそらく地雷だったようだ。

「そーなんだよ!!みょうじサンのことなに一つわからないんだ。一般的なプロフィールそれはスリーサイズもねッハアハアはモチロンわかるんだよ!知ってるんだよ!
だーけど!不自然が無さ過ぎて逆に怪しいっていうかなんというかいやはやプンプン!」

「うーん、そんなこと言われても私の経歴に詐称はないし、いくら荒探しされても何もでてこないはずなんだけど…うーん私なんか過去に目立つようなことやったかなぁ」

実際超高校級の影である私が何かをしたという可能性はゼロなわけだが。

「早々と皆の出鼻くじくしー?コミュ障のクセに他人と関わろうとするし。オマエの存在自体胡散臭く感じる時もあるしでサァ…」

「そんなこと言われても…ってあれ胡散臭く感じる?ってどういう…」

疑問を感じたすぐにドピャアアアアアアとドアを華麗に開け素早く駆けていったモノクマになーるほど、と1人笑む。