新しい校則が追加された。

・生徒が生徒を殺した場合のみ、一定時間後、【学級裁判】が開かれる。
裁判前の捜査で推理の材料を集め、裁判の議論によって犯人を推理し、最後に犯人の名前を各自投票。
 投票結果が正解なら、犯人だけ処刑され共同生活が続く。不正解なら、犯人だけ卒業―脱出し残り全員が処刑される。

そこまで説明があったところで、江ノ島がブチ切れた。

「ふざんけんなよ!処刑とか、裁判とか、私は参加しないからね!あんたたちで勝手にやれば!?」

通せんぼしたモノクマを、江ノ島が踏みつけた。なまえは片手を静かに動かしながらそれを眺めた。モノクマ叫びながら声を上げた。

「今のは校則違反だよ。助けて〜グングニルの槍!」

床や天井に開いた孔から鉄槍が発射され、四方八方から江ノ島を貫いた。

「あれ…?……ははは…おかしくない?……なんで、あたし………」

現実感の無い光景だった。そして久しく見ない光景であった。目の前の江ノ島も半笑いのまま動かなくなった。だが間違いなく倒れた江ノ島盾子は死んでいた。



モノクマの言うとおりにする以外に道は無い。そう思い知らされる光景を作り出したなまえは小さく息を吐いた。倒れている江ノ島とは違う位置をチラリと一瞥する。


「江ノ島さん…」

某然とその状況をただ見ているだけという形になった彼らは、モノクマに恐怖した。
ただ、何も言えず、校則違反となった江ノ島に駆け寄ることもできず顔を青くさせ立ち尽くす。

「うぷぷ、それじゃあ楽しい楽しい絶望的な学園生活を送ってネ!」

ぽてぽてと走って消えるモノクマを見送ったなまえは静かに気配を絶つ。
全員が自室へ戻るべく歩みを進める。その最後に山田たちが出てから10分ほどたったあとモノクマは再びやってきた。

「まったくもう、残念なお姉ちゃんなんだから」

「残念なお姉ちゃん、どんなにがんばったって絶望的に可愛い私には慣れないのに。うぷぷ残念な顔で生き絶えちゃって、ほんと絶望的に残念なお姉ちゃん」

よっこらせ、と持ち上げたモノクマはドテドテと走りながら死体を運び出した。

それを見計らってからなまえは何も無い床からすくい上げる動作をする。

自室に戻ったなまえは椅子に座り大きく息を吐く。


「まったく、江ノ島ちゃんも困ったもんだね。」

世界が絶望に染まっている。汚染されている。この学園にある空気清浄機を止めるわけにはいかない。

うーん、なまえは唸る。
どうしたらいいんだろうか。

助けると決めた。それはいい。
助けようじゃないか。

ただ、この世界のレール(常識)は既に曲がってしまっている。

"ハッピーエンド"

どう考えても難しい。今手元にいる彼女はやがてバレるだろう。彼女の妹は頭がいい。姉とは違い絶望に喜びを感じている。

裏切りももう持ちかけているだろう。


「さくらちゃんか、ね、」


足を組み腕を伸ばす。チラリと見えたルークに話しかける。

<<ややこしい世界にいるもんだ>>
<<退屈しのぎには丁度いいかと>>
<<こらこら人の命かかってんだよー>>
<<ソーリー、マスター>>
<<力で解決するなら一番簡単なんだけどね
この環境が彼らにとって一番安全だというのも事実だ>>
<<歯痒いですねえ>>